研究課題/領域番号 |
13031032
|
研究種目 |
特定領域研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
|
研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
鈴木 淳史 横浜国立大学, 大学院・環境情報研究院, 教授 (90162924)
|
研究期間 (年度) |
2001
|
研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
|
配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2001年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
|
キーワード | ハイドロゲル / 体積相転移 / ミクロドメイン構造 / 表面パターン / 金属イオン / キレート結合 / 自律環境応答 / 選択的吸収 |
研究概要 |
本研究では、ソフトマテリアルの一つであるハイドロゲルを取り上げ、疎水性相互作用と水素結合が主たる引力として作用するハイドロゲルを合成し、そのミクロなドメイン構造を解析し、外部環境変化に自律的に応答し、体積相転移というマクロな形態変化を生み出す物理・化学的な原理を構築した。金属イオンとのキレート結合を外部環境により制御することにより、金属イオンの選択的吸収・放出の可能性を明らかにすることを目的とし、次の成果を得た。 1.ハイドロゲルセンサー:熱応答性のあるN-イソプロピルアクリルアミド(NIPA)とアクリル酸ナトリウム(SA)の共重合ゲル(NIPA-SAゲル)の相図を決定し、ゲルを構成している網目のミクロドメイン構造を評価し、網目構造の階層性を調べ、ゲルの構造と外部環境変化の影響、メゾスコピックサイズの網目構造がマクロな形態変化を生み出す原理とマクロな機能の発現に果たす役割について考察した。また、その相転移温度、膨潤比、収縮パターン変化と溶媒中金属イオン濃度の関係について詳細に調べ、ゲルの巨視的な特徴ある形態変化により、金属イオン濃度を半定量的に検知することのできるスマートセンサーへの応用の可能性を示した。 2.スマートハイドロゲル(金属イオン吸収ゲル):NlPA-SAゲルを既知の濃度の金属イオン溶液に加え、その前後の金属イオン濃度を原子吸光光度計によって測定し、ゲルの金属イオン吸収量を調べた。各種金属イオン中のゲルの相図を決定し、これを基に温度変化による体積相転移に基づく金属イオンの選択吸収・放出機能を評価した。金属イオンの吸収量は、金属イオンの種類、温度、ゲル/溶媒の体積比、SA含有量、pH、時間などに依存し、ゲルの環境を適切に設定するすることにより、目的物質を、選択的かつ可逆的に吸収するゲルの開発が可能であることを示した。 以上の結果により、ゲルの相がとるミクロな構造と、外部環境変化(金属イオン濃度、温度)に対して自律的に応答して体積相転移というマクロな形態変化を生み出す基本原理、さらに外部環境変化によるキレート結合の制御と微視的・巨視的構造との相関を明らかにした。
|