研究課題/領域番号 |
13031037
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
沓水 祥一 岐阜大学, 工学部, 助教授 (80214964)
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研究分担者 |
山口 登造 住友化学工業(株), 筑波研究所, 主任研究員
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研究期間 (年度) |
2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2001年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 水素結合 / 強相関ソフトマテリアル / キュービック液晶 / スメクチック液晶 / 電場誘起相転移 / 構造制御 / 液晶 |
研究概要 |
本研究で扱う化合物は、硬いビフェニルコアの両端の4位と4'位にそれぞれカルボキシル基と長いアルコキシ鎖(その炭素数をnとする)を、側方の3'位に極性基であるニトロ基をもつだけの有機分子であり、ANBC-nと略称される。この化合物は、分子末端の分子間水素結合に端を発した「強相関ソフトマテリアル」として、ある温度域で3次元的な凝集構造であるキュービック液晶(Cub)相を発現する。特に注目されるのは低温側の層状構造のスメクチックC(SmC)相からの転移で、貯蔵弾性率G'は、SmC相の10^2-10^3PaからCub相の10^6Paへと劇的な変化を示す。本研究は、このSmC-Cub相転移機構を理解し、"化学的に"あるいは"物理的に"制御することを目的として行ってきた。今回、以下の新しい知見を得た。 (1)DSC測定、偏光顕微鏡観察、X線回折を併用することにより、1成分系のANBC-nのアルコキシ鎖長nに依存した相図を明らかにした。その相図中、Cub相領域には2種類のCub相構造が存在することを見出した。(2)ANBC-16の静水圧下の相挙動を検討したところ、Cub相がSmC相の層状構造が熱揺らぎにより波打った結果形成される構造であるとの描像を裏付ける結果を得た。(3)"化学的"制御の試みとして、ANBC-nとn-アルカンとの2成分系を調製し、ANBC-nのアルコキシ鎖部分を実効的に修飾してみた。その結果、アルコキシ鎖長nに複雑に依存した相図は1成分系のみの特別な現象ではなく、実効的なアルコキシ鎖長n^*によって制御できること、すなわち、相図は系内の相反する2成分、aliphatic vs. aromaticの存在によって支配されていることがわかった。(4)"物理的な"制御の試みとして、SmC相およびCub相の交流電場応答を検討した。興味深いことに、n=22のANBC-22では、SmC-Cub相転移の約10℃下のSmC相において、交流電場印加により、SmC-Cub相転移を誘起することに成功した。現在さらに詳細を検討中である。
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