配分額 *注記 |
26,500千円 (直接経費: 26,500千円)
2003年度: 7,500千円 (直接経費: 7,500千円)
2002年度: 11,800千円 (直接経費: 11,800千円)
2001年度: 7,200千円 (直接経費: 7,200千円)
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研究概要 |
生体を構成する多くの高分子はいずれも一方向巻きのらせん構造を形成し、生命維持に不可欠の高度の機能の発現と深く関わっている。これら生体高分子のらせん構造形成には、水素結合や酸-塩基相互作用、疎水的相互作用といった非共有結合が重要な働きをしている。本研究では、側鎖にカルボキシル基を有するシスートランソイド構造のポリフェニルアセチレン(poly-1)へのらせん誘起と記憶の機構をCDやIR、粘度を用いて詳細に調べた。さらに、一般に水中ではその形成が困難とされている静電的相互作用や水素結合を駆動力として、水中でもらせん構造を誘起できるかどうかを調べる目的で、亜リン酸残基(poly-2)やアキラルなグリシンオリゴマーを側鎖に有する水溶性のポリフェニルアセチレン誘導体(poly-3)を合成し、アミノ酸やオリゴペプチド等との相互作用をCDを用いて水中で調べたところ,以下に示す興味深い結果を得た。 1.poly-1と光学活性アミンとの間で形成されるイオンペアーがpoly-1へのらせん誘起に重要な役割を果たし,さらに,らせん構造の記憶保持には、側鎖の一部がカルボキシラートイオンへと解離することにより生じる側鎖間の静電反発が重要な役割を演じていることを明らかにした。 2.poly-2について、様々のアミノ酸存在下、水中でCDスペクトルを測定したところ、これらが19種類の標準アミノ酸すべでのキラリティーに応答して、二方向巻きのらせん構造を形成し、主鎖の共役二重結合領域に誘起CDを示すことを見い出した。高分子電解質は、その強いイオン凝集効果によって、逆の電荷を有する低分子電解質と水中でも静電的な相互作用を介して結合でき、そのため、らせんが誘起され、水中でもCDを示したものと考えられる 3.pol-3への水中でのらせん誘起について検討するために,様々のオリゴペプチド存在下、poly-3のCDスペクトルを水中で測定した。その結果,水中でも動的な一方向巻きのらせん構造を誘起するのに十分の相互作用が水素結合を介しても可能であることが初めて明らかとなった。
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