研究課題/領域番号 |
13031065
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
林 高史 九州大学, 工学研究院, 助教授 (20222226)
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研究期間 (年度) |
2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2001年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | ミオグロビン / 再構成 / 合成ヘム / ポルフィセン / 酸素親和力 / 自動酸化 / ヒスチジン / 疎水性相互作用 |
研究概要 |
生体内での酸素キャリアの役割を担うミオグロビンあるいはヘモグロビンの活性中心であるヘム(ポルフィリン金属錯体)分子はタンパク質マトリクス(グロビン)と非共有結合的な相互作用[疎水性相互作用+配位結合+水素結合]によって強相関的に結合して酸素分子を安定に保持する重要な働きを演じている。また天然のヘムを除去したアポタンパク質に人工的なヘムを挿入した再構成体を調製することが可能である。本研究では、上記の知見に従って、ヘム異性体であるポルフィリン鉄錯体をアポ化したミオグロビンに挿入し、非天然ミオグロビンを調製した。この新しい再構成ミオグロビンは、UV、ESI-TOF Mass等によって同定した。さらに、ジチオナイトで還元したデオキシミオグロビンは、通常のミオグロビンと同様に、可逆的な酸素錯体、一酸化炭素錯体が得られた。酸素錯体の挙動を評価するために、フラッシュホトリシス、ストップドフロー解析を行った結果、酸素のヘムからの解離がきわめて遅く、したがって、酸素親和力が天然のミオグロビンの約1,400倍向上していることが明らかとなった。さらに、オキシ体から三価ミオグロビン状態に移る自動酸化速度を求めた結果、天然に比べ、7倍程度遅いことが判明し、この再構成ミオグロビンの酸素錯体はきわめて安定であることが示された。これは、近位ヒスチジンが鉄にきわめて強く配位し、さらにその鉄から酸素分子への逆供与が働いたことと、さらにその結果、酸素分子が負電荷を帯び、遠位ヒスチジンから酸素への水素結合か強固になったためと考えらえれる。以上、本再構成手法を用いることによって、ミオグロビンの機能を飛躍的に向上させることに成功した。
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