研究概要 |
我々は電子顕微鏡観察により、6種類のヒトMcm蛋白質(HsMcm2,-3,-4,-5,-6,-7)のうちDNAヘリカーゼ活性を有するMcm4-6-7複合体(ヘテロ6量体)およびその活性が阻害されたMcm2-4-6-7複合体(ヘテロ4量体)の構造を解析した。その結果、まずヒトMcm4-6-7複合体は外径が13-14nm、内径が3-4nmのドーナツ型の構造をとることを見出した。次に、ヒトMcm2-4-6-7複合体については1462個の画像を解析した結果、509,441,278,234という4種類のグループに分かれた。そのうち509,441個の画像はよく似た4つの角を持つ外径が15-18nm、内径が3-4nmのドーナツ型の構造をとっていた。これら4つの角は各HsMcm2,-4,-6,-7蛋白質に由来する画像では無いかと予測される。とくに509個の画像は角のひとつから腕のようなものが伸びているため、この画像がサイズの最大なHsMcm2に由来するのではないかと予想した。この他、大腸菌で発現させ精製したGST-Mcm4,-Mcm6,-Mcm7用いてプルダウンアッセイを行いMcm4とMcm6、Mcm4とMcm7およびMcm6とMcm6の高い相互作用を見出した。また、ツーハイブリッドアッセイも行い、Mcm2とMcm6およびMcm6とMcm6の相互作用を確認した。これは、Mcm6がホモ2量体を形成することを示唆する。これらの結果を総合して、Mcm2-4-6-7ヘテロ4量体ではMcm2,Mcm6,Mcm4,Mcm7の順番で、Mcm4-6-7はヘテロ6量体ではMcm7-Mcm4-Mcm6-Mcm6-Mcm4-Mcm7の順序でドーナツ型の構造をとっていると結論した。
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