研究概要 |
昨年度において、明確な免疫抑制作用を持つウイルス蛋白は同定できなかったが、K3,K5蛋白の類似構造分子群を哺乳類ゲノムにて見い出した。よって、本年はK3,K5のヒト構造類似分子に注目し検討した。Public databaseの検索の結果、一次構造上明らかなhomologは認められなかったが、BKS-PHD/LAP domainを持ち、さらに二次構造が類似している遺伝子群をヒト、マウスゲノムにて見い出した。機能解析によって、この遺伝子群の中に、B7-2の細胞表面における発現を優位に抑制する遺伝子を見い出した。この分子はK3,K5と分子機構、構造を共有するため、K3,K5の別名であるMIR (Modulator of Immune Recognition)を参照とし、c-MIR (cellular-Modulator of Immune Recognition)と名付けた。B7-2に焦点を絞つて解析を行ったところ、c-MIRはB7-2と結合し、B7-2の細胞内領域に存在するリジン残基をユビキチン化することにより、K3/MIR1,K5/MIR2と同様に、標的分子をendocytosisさせ、ライソゾームにおける分解を促すことを見い出した。さらに、c-MIRの構造類似分子が哺乳類ゲノムに存在する事を見い出しており、c-MIR以外に興味ある抗原提示関連分子を抑制する分子を同定している。現在、c-MIRを含めた分子群の生理機能の探索を行っている。
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