研究課題/領域番号 |
13037031
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
久保 允人 東京理科大学, 生命科学研究所, 助教授 (40277281)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
6,600千円 (直接経費: 6,600千円)
2002年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2001年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
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キーワード | サイトカインシグナル / T細胞機能分化 / Th1 / Th2 / IL-4 / STAT6 / SOCS |
研究概要 |
分化誘導時におけるサイトカインの存在はTh1およびTh2への機能分化において、その方向性を決める上で非常に重要な働きを持っていることが証明されている.ナイーブT細胞がTh2へと分化していくためには、IL-4レセプターシグナル伝達系により、転写因子STAT6が活性化される必要がある。このIL-4シグナルはTh2細胞では機能していたが、Th1細胞ではSTAT6の活性化が起こりにくい状態にあり、レセプターが発現されているにも関わらず、IL-4シグナル伝達系が抑制的に調節されていた.そこで我々は、Th1ではα鎖に会合してJak1の会合を障害している分子の存在を想定し解析を行った結果、サイトカインシグナル伝達系を抑制的に調節するファミリー分子として同定されたsuppressor of cytokine signaling (SOCS)分子の一つSOCS5が会合することを見いだした。そのSOCS5の発現はIL-12によってTh1特異的に発現が誘導され、チロシンリン酸化とは無関係にIL-4Rα鎖に会合する。この会合はJak1のIL-4Rα鎖への会合を阻害するため、IL-4依存的に誘導されるSTAT6の活性化を抑制し、その結果Th2分化を抑制した。実際、T細胞特異的にSOCS5を発現するトランスジェニック(Tg)マウスではTh2分化が抑制され、Th1に反応が傾く傾向が認められた。 これとは逆に、T細胞におけるSOCS3の恒常的発現はTh2分化を顕著に更新した。T細胞特異的に発現させたTgマウスのT細胞の機能分化は、Th1分化が顕著に抑制され、それに呼応してTh2分化が促進していた.CD4+T細胞におけるSOCS3の発現はIL-4依存的に制御されており、そのためその発現はTh2細胞特異的に認められた。CD4+T細胞で発現したSOCS3分子はIL-12レセプターの細胞質内に存在するチロシン残基に結合することにより、IL-12依存的に誘導されるSTAT4の活性化を抑制する結果、Th1分化を抑制制御していた.サイトカイン抑制活性を消失させた変異体SOCS3を発現するTgマウス、そしてSOCS3遺伝子をヘテロに持つSOCS3+/-マウスでは、SOCS3Tgのときとは逆にTh1分化が顕著に促進することから、SOCS3によるIL-12レセプターシグナルに対する抑制制御はさらに裏付けられた。以上のことから、SOCS-5及びSOCS-3は、初期分化過程に存在するサイトカインによって特異的に誘導され、T細胞機能分化におけるサイトカインネットワークバランスに変化を与えることにより、生体で起こる免疫反応を制御する重要性が強く示唆された.
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