研究概要 |
ACR毒素に対する宿主のレセプター遺伝子探索を進め、ドーパミン、グルタミン酸、黄体形成ホルモン等のレセプター遺伝子の部分領域と相同性を示すミトコンドリアゲノム遺伝子ACRSを単離し、ACR毒素への感受性/抵抗性は本遺伝子mRNAへのプロセッシングの有無により決定されることを証明した。また、ACR毒素に抵抗性を示すカンキツ2品種の細胞を融合させると、毒素抵抗性の2品種由来にも関わらず、その融合体からの再生体はすべて毒素に感受化することを発見し、さらにこの再生体はすべてサイブリットであり、核とオルガネラが別々の親由来であり、毒素抵抗性の2品種由来の細胞融合再生体が毒素感受性になったのは、ミトコンドリア遺伝子であるレセプター遺伝子のmRNAが、由来の異なる核のプロセッシング酵素に切断されず、レセプターが翻訳され、毒素に感受化することを証明した。これらの結果により、本毒素への感受性/抵抗性は、ミトコンドリアにおけるACRSmRNAへのプロセッシングの有無により決定されることを明確にした。 さらに、ラフレモン葉へは毒性を示さず、むしろ抵抗性誘導因子(エリシター)として働くことを明かにした宿主特異的ACT毒素合成遺伝子、およびペクチン分解酵素遺伝子の単離と、それらの標的遺伝子欠損菌の作出に成功した。また、防御関連遺伝子の単離のために、ラフレモン葉に非病原性Alternaria属菌を噴霧接種し、2時間後のRNAを無処理葉のRNAでサブトラクション後のmRNAをクローン化し、500クローンの配列を決定した。その結果、全体の16%が抵抗性またはストレス応答に関与すると報告されている遺伝子の部分配列であり、その中からリポキシゲナーゼ、ハイドロペルオキシドリアーゼ、エポキシハイドロラーゼ、キチナーゼ、プロテアーゼ阻害蛋白、ペクチナーゼ阻害蛋白の全長単離、PAL, CHS, HMGR, HMGS, GTP結合蛋白Rab,14-3-3蛋白の部分配列の単離と発現挙動の解析等に成功した。
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