研究課題/領域番号 |
13039015
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
朽津 和幸 東京理科大学, 理工学部, 助教授 (50211884)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
5,200千円 (直接経費: 5,200千円)
2002年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2001年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
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キーワード | 細胞死 / エリシター / カルシウムイオン / 過敏感反応 / イオンチャネル / タンパク質リン酸化 / 細胞周期 / ミトコンドリア |
研究概要 |
タバコ培養細胞BY-2と、タンパク質性エリシターを用いて、同調的に過敏感細胞死が誘導される実験系を確立した。エリシターが陰イオンチャネルを活性化することにより膜電位の脱分極を誘導し、膜電位依存性Ca^<2+>チャネルを活性化してCa^<2+>動員を誘導している可能性が考えられた。一方、陰イオンチャネルの活性化や活性酸素の発生は、Ca^<2+>依存的に誘導された。これまで植物細胞においてCa^<2+>チャネル遺伝子の機能が同定された例はほとんどなく、本実験系は植物のシグナル伝達におけるCa^<2+>チャネルの機能を解析する上で格好のモデル系と考えられる。そこでCa^<2+>動員の分子機構を解明するため、Ca^<2+>チャネル候補遺伝子群を探索、同定し、機能解析を進めている。 このエリシター誘導性細胞死の過程における細胞の形態変化を解析したところ、細胞質の凝集、収縮が観察された。こうした細胞死に先立ち、数時間以内にミトコンドリアの還元酵素活性がほぼ完全に失活し、ミトコンドリアの膜電位の脱分極が誘導されること、こうしたミトコンドリアの変化はイオンチャネル阻害剤により抑制されることが明らかとなり、ミトコンドリアの変化が細胞死の誘導に重要な役割を果たしている可能性が考えられた。また様々な特異的分子プローブを用いたイメージング法を用いて液胞の動態を連続観察したところ、細胞死に先立ち液胞の崩壊が誘導されている可能性が示された。 エリシターが二つのチェックポイントの両方で細胞周期を停止させ、細胞の増殖から死への転換の引き金を引くこと、エリシターによる生体防御反応の誘導や過敏感細胞死のシグナル伝達系が、細胞周期に依存して調節されていることが明らかとなった。本実験系は、植物においてほとんど未解明である細胞周期の停止とプログラム細胞死とのクロストークを解析するのに類例のない優れたモデル系となると期待され、その分子機構の解明を進めている。
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