研究課題/領域番号 |
13041036
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
黒田 俊一 阪大, 産業科学研究所, 助教授 (60263406)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
7,200千円 (直接経費: 7,200千円)
2002年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2001年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
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キーワード | 神経軸索誘導 / 神経細胞 / プロテインキナーゼC / UNC-76 / PC12細胞 / NGF |
研究概要 |
共同研究者(Horwitz, MIT)らにより、神経軸索誘導機構の欠陥で行動異常を呈する線虫変異株unc-76の責任遺伝子産物としてUNC-76タンパク質(385アミノ酸残基)が単離され、我々は哺乳類オルソログFEZ1(Fasciculation and Elongation protein interacting with protein kinase Zeta 1)を見出し、神経細胞の増殖、分化及び生存維持に関係するプロテインキナーゼCζ(PKCζ)と相互作用する脳特異的基質であることを報告した。現在までの進捗状況は以下の通り。(1)FEZ1ホモログであるFEZ2をラット及びヒトから完全長クローニングすることに成功した。ラット成体各臓器、マウス胎仔でのmRNA発現パターンの差、ラット脳神経系内でのmRNA発現部位の差を明らかにした。(2)NGF処理によりneurite様突起伸長を行っているPC12細胞においてFEZ1/2タンパク質の発現がNGF添加前のレベルの20倍以上誘導されることを見出した。同細胞の内在性FEZ1/2は細胞質内でドット状に存在していた。一方、ラット海馬由来初代培養神経細胞におけるFEZ1/2の局在を調べたところ、上記PC12細胞とは異なり、細胞体部分とGrowth Cone付近に著量存在していることが判明した。(3)細胞骨格系制御において重要な役割を果たすことが知られているGTP結合タンパク質RhoファミリーとFEZ1の結合に関して検討した。RhoA, Cdc42HsとFEZ1は結合しなかったが、Racファミリー(脳神経系特異的なRac3)のGTP結合型とFEZ1が相互作用した。(4)GST-FEZ1及び抗FEZ1/2抗体を用いるアフィニティーカラムを使用して、内在性FEZ1/2との結合分子を部分精製したところ、PKCζ以外のatypical PKC、チロシンキナーゼ及びチロシンリン酸化されたタンパク質群がFEZ1/2と相互作用していることが判明した。現在、これらの分子群を個々に単離し、マイクロシークエンスにより解析している。 チロシンキナーゼ(PC12細胞においてはNGFレセプター)から伝播した軸索伸長シグナルは、GTP結合型Rhoファミリーに変換されて細胞骨格系タンパク質の再構成を促すと考えられている。現時点ではFEZ1はチロシンキナーゼ→GEF→Rac3→エフェクター分子複合体の中の必要不可欠な分子で、PKCζをはじめとするPKCはそのモジュレーターであると想定される。
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