研究課題/領域番号 |
13041037
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
稲垣 忍 大阪大学, 医学部, 教授 (90151571)
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研究分担者 |
彼末 一之 大阪大学, 医学部, 教授 (50127213)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
5,600千円 (直接経費: 5,600千円)
2002年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2001年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
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キーワード | セマフォリン / 神経回路 / 神経反発 / 成長円錐 / シナプス / シグナル伝達 / Rhoファミリー / 後シナプス肥厚膜 / G蛋白質 |
研究概要 |
私達は膜型セマフォリンであるM-SemaF(Sema4C)およびM-SemaG(Sema4D)がシナプス形成・除去が最も盛んに行われる生後幼若期に多く発現することから、これらのシナプスに局在について調べた。また、セマフォリンなど成長円錐退縮分子の作用機序は不明の点が多いが,成長円錐の形態が変化することから,アクチン骨格系を制御する低分子G蛋白質が関与していると予想される。私達は1)M-SemaFが後シナプス膜肥厚蛋白質PSD-95に結合し、後シナプス膜肥厚画分に濃縮していること、II)また、別のM-SemaF結合分子は神経興奮によって発現が増加し、Neuro2a細胞の神経突起伸長を誘導したことから、同分子がシナプス機能に関与していることを示唆した。一方、III)M-SemaGは、シナプスに局在しなかった。また、その神経反発作用を調べたが、予想に反して、PC12細胞の神経様分化や胎生期神経節細胞の神経突起伸長を誘導したことから胎生期では誘引因子としてに神経回路形成に関与していると思われる。IV)このM-SemaGの作用は神経成長因子受容体を介するシグナル伝達を増強することによって引き起こされたことを明らかにした。V)M-SemaGの受容体であるプレキシンB1の細胞情報伝達に関与する細胞内シグナル分子を探索した結果,アクチン細胞骨格を制御するRhoファミリー分子、RhoA活性化分子、PDZ-RhoGEFが関与することを見いだした。次にプレキシンB1の作用とrhoファミリー分子の関与を調べた、VI)M-SemaGが引き起こす細胞縮小化作用にはプレキシンB1とRhoAの活性化が必要であった。驚いたことにVII)プレキシンB1はM-SemaGリガンド非依存性に相反する形態変化、ラメリポディア形成と細胞縮小化を引き起こした。これらの結果は神経反発因子の作用が神経細胞や環境により誘引性に変化する現象を発現細胞で示すことのできた初めての研究であり、その分子機構の解明に大きく寄与することが期待される。
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