研究課題/領域番号 |
13041051
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
金子 章道 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (00051491)
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研究分担者 |
渡辺 修一 埼玉医科大学, 教授 (60138120)
小泉 周 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10296551)
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研究期間 (年度) |
2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
2001年度: 3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
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キーワード | 網膜 / アマクリン細胞 / 双極細胞 / 水平細胞 / 側抑制 / 受容野 / GABA / 塩化物イオン濃度 |
研究概要 |
感覚神経系において側抑制は受けた刺激の輪郭を際立たせ、像や物体の形の認識の上で極めて重要なメカニズムである。視覚系ニューロンは網膜視細胞から外側膝状態のニューロンに至るまで拮抗する同心円状の受容野を持っている。周辺抑制に関与する網膜細胞として水平細胞とアマクリン細胞がある。いずれもGABA作動性の抑制性介在ニューロンである。今年度は受容野周辺部の形成に水平細胞がどのように関与しているかを明らかにする研究を行った。水平細胞は視細胞のシナプス終末にフィードバックするだけでなく、双極細胞への直接入力も否定できない。何故なら、双極細胞の樹状突起にもGABA受容体が存在するからである。しかし、ON型双極細胞とOFF型双極細胞では周辺部応答の極性が全く反対なので、おなじGABA入力がどのようにして双極細胞の周辺部応答を形成できるのかは謎であった。今回、グラミシジン穿孔パッチ法をマウス網膜スライス標本の双極細胞に適用しGABAに対する応答を検討した。その結果、ON型双極細胞では細胞内Cl-濃度が高く、GABAに対する逆転電位が静止膜電位よりも脱分極側にあり、一方、OFF型双極細胞では細胞内Cl-濃度が低いため、GABAに対する逆転電位が静止膜電位よりも過分極側にあった。この結果ON型とOFF型でGABAに対する応答の極性が異なることが説明できる。水平細胞からのGABAの放出は光照射で減少するから、ON型には過分極を、OFF型には脱分極を引き起こし、中心部応答と反対の極性を持った応答が生じることになる。最近、免疫組織化学法を用いてON型双極細胞には細胞内へCl-を取り込むNKCCが、OFF型双極細胞には細胞内からCl-を汲み出すKCC2が発現していることが示された。この組織化学的所見はON型双極細胞とOFF型双極細胞で細胞内Cl-濃度が異なる可能性を示し、今回の研究結果とよく一致する。
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