研究課題/領域番号 |
13041057
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 岡崎国立共同研究機構 |
研究代表者 |
伊佐 正 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 教授 (20212805)
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研究分担者 |
遠藤 利朗 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (30353436)
齋藤 康彦 群馬大学, 医学部, 講師 (70290913)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
2002年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2001年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
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キーワード | 上丘 / スライス標本 / wide field vertical cell / H電流 / 樹状突起 / HCN1 / パッチクランプ法 / アセチルコリン / 浅層 / ニコチン受容体 / GABA作動性ニューロン / 脳スライス / GAD67-GFPノックインマウス |
研究概要 |
これまでの研究で上丘浅層深部から視神経層、そして中間層背側部に分布する大型のニューロンで、樹状突起を浅層表層にむけて広汎に投射し、軸索を中間層にむけて投射し、浅層に入力した視覚入力を中間層に中継する機能が考えられているwide field vertical cellには巨大なH電流を生成させるチャンネル分子が発現することを明らかにしてきた。そしてwide field vertical cellにおいては、シナプス入力に対して、細胞体が極端に過分極している状況(例えば保持電流が-90mV)においても活動電位が生成する、ということから細胞体とEPSPから活動電位が生成している部位(おそらく広汎に張った樹状突起)とはisopotentialでないということが示唆された。最近の生理学研究所脳形態解析部門の重本隆一教授らの研究からH電流を担うHCN1分子が上丘浅層に強く発現していることから、wide field vertical cellの樹状突起にHCN1が発現し、樹状突起部の膜電位と活動電位の生成閾値を調節しているのではないか、と考えた。そのことを検証するため、whole cell記録下において過分極通電を行い、-80mV程度からでも興奮性入力に対してEPSPに跳乗して活動電位が生成する状況を作り、H電流を抑制するZD7288(100μM)を投与した。すると細胞体に顕著な過分極が起きたことからH電流が過分極通電に対して脱分極を引き起こすように作用していることが示唆された。そして、通電量を調整して膜電位を投与前の状態にそろえたところ、細胞はEPSPのピークが-58mV程度まで脱分極しているにも関わらず活動電位が生成しなかった。以上の結果からwide field vertical cellの樹状突起のHCNチャンネルが膜電位と活動電位生成閾値の調整に関与していることが示唆された。そこで次のステップとして、wide field vertical cellの樹状突起に発現するのがHCN1チャンネルであることを確かめるため、biocytinを細胞内注入したwide field vertical cellにおいてHCN1チャンネルの抗体染色を行い、共焦点レーザー顕微鏡で観察したところ、wide field vertical cellの樹状突起にHCN1分子が発現していることが確認できた。
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