研究課題/領域番号 |
13041062
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 岡崎国立共同研究機構 |
研究代表者 |
小幡 邦彦 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 教授 (60013976)
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研究分担者 |
兼子 幸一 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (50194907)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
2002年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2001年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
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キーワード | GABA / 遺伝子改変マウス / 恐怖条件づけ / 扁桃体 / グルタミン酸脱炭酸酵素 / ノックアウトマウス / 抑制性神経伝達物質 / 聴覚脳幹反応 / 恐怖条件反射 |
研究概要 |
われわれはさきに抑制性神経伝達物質GABAの合成酵素の一つであるグルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)65の遺伝子ノックアウトマウスを作成した。このマウスでは脳内GABAが50-70%に減少し、けいれんを起こしやすく、各種の情動行動が異常であった。今年度はこのマウスについて、情動記憶へのGABAの関与を恐怖条件づけとその責任部位である扁桃体の機能変化についてしらべた。テスト箱に入れブザー音と足への軽度電気ショックの組み合わせで形成させた条件反射で、異常がみられた。すなわち条件刺激に対し、恐怖反応の指標であるすくみ(フリージング)は減少したが、逃避行動である走り回りや跳躍が出現した。これは恐怖の高進を示すと解釈された。扁桃体の細胞外GABA濃度をマイクロダイアリシス法で測定した。恐怖条件づけされたマウスでは条件刺激後4時間にわたってGABA濃度が著しく低下した。これは野生型とノックアウトマウスで同様にみられ、恐怖にGABA放出の低下が伴っていることが示唆された。ついで扁桃体のスライス標本の電気生理学的解析を行った。ノックアウトマウスにおいて、抑制性シナプス電流(IPSC)は低頻度で発生させたときは野生型と同様であるが、高頻度では減弱し、GABAの放出が不十分であることが示された。自発性に出現する興奮性シナプス電流の頻度は増加しており、これらを合わせて、GABA機能の低下により扁桃体の興奮性が背景的に高進していることがわかった。さらに、もう一つのGABA合成酵素GAD67の遺伝子ノックアウトマウスを作成した。これは致死であり、ヘテロマウスのみが生育した。これはGABA減少が経度であり、行動異常はみられなかった。
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