研究課題/領域番号 |
13041069
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | (財)東京都医学研究機構 |
研究代表者 |
金保 安則 財団法人東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所・参事研究員(部長) (00214437)
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研究期間 (年度) |
2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
2001年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
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キーワード | ホスホリパーゼD / PIP5-キナーゼ / 小脳顆粒神経細胞 / 海馬神経細胞 / 神経軸索 / スパイン |
研究概要 |
細胞内シグナル伝達や種々の細胞応答に重要な役割を果たしているリン脂質代謝酵素のホスホリパーゼD(PLD)とホスファチジルイノシトール4-リン酸5-キナーゼ(PIP5K)の神経軸索あるいは樹状突起の形成における役割について解析した結果、以下の成果が得られた。 現在までに同定されている二種のPLDアイソザイム(PLD1とPLD2)のうちPLD2のみが小脳に発現していること、および小脳顆粒神経細胞にPLD2を過剰発現させた場合、あるいはPLD産物のホスファチジン酸(PA)を作用させると、神経軸索の伸展が顕著に促進されることを見出した。また、小脳顆粒神経細胞に発現している神経接着因子L1を抗L1抗体で刺激すると、軸索伸展が促進することが知られているが、このL1刺激による軸索伸展の促進は、PLD依存的なPA産生を抑制する一級アルコールにより阻害された。これらの結果から、PLD2は神経細胞の軸索伸展に重要な役割を果たしていることが示唆される。 一方、海馬神経細胞にPIP5Kα、β、γのそれぞれのアイソザイムを過剰発現させると、PIP5Kαは核周辺の小胞に、PIP5Kβとγは細胞体全体と樹状突起に分布し、PIP5Kβを発現させた場合のみ、通常キノコ状形態を示している樹状突起スパインが伸展した糸状仮足様形態へと変化することを見出した。このことより、PIP5Kβは樹状突起スパインの形態の制御に関与しているものと考えられる。また、ラット初代培養海馬神経細胞にテタヌス刺激を加えると糸状仮足様のスパインが多数出現することが報告されており、PIP5Kβを過剰発現させた場合のスパイン形態がテタヌス刺激を加えた場合に見られるスパイン形態と酷似していることより、PIP5Kβがシナプス可塑性に関与している可能性が考えられる。
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