研究課題
特定領域研究
細胞周期進行異常があるとチェックポイントが活性化して細胞周期が停止し、その停止が不十分であると細胞死をおこすが、チェックポイントが活性化していない状態でも、細胞周期回転の停止により細胞死が増強する場合と減弱する場合のあることが知られている。そこで、本研究では、細胞周期回転による細胞死制御のメカニズムとその生物学的意義についての解明を行った。我々は、まず細胞周期停止により効率よく細胞死をおこすBリンパ球株を用いて細胞周期停止による細胞死誘導に関わる遺伝子の断片を濃縮する方法を開発し、この方法を用いて、c-Mycが細胞周期による細胞死誘導に関わることを明らかにした。さらに、c-Mycの発現が高い細胞では、CDKインヒビターなどによる細胞周期停止により細胞死誘導がおこり、c-Mycの発現の低い細胞では細胞の生存が誘導される。この結果から、c-Mycが細胞周期停止の際に細胞死がおこるか生存がおこるかを決定する機能を持っことが明らかとなった。さらに、SMNなどのRNA代謝に関わる遺伝子が濃縮された。また、Bリンパ球は抗原刺激により細胞死をおこし、この細胞死がCD40を介するシグナルによって抑制されることにより免疫応答がおこる。我々は、CD40シグナルによる効率的細胞死抑制の際に、細胞周期進行が必須であることを明らかにし、細胞周期回転による細胞死制御が免疫系において重要な役割を果たすことを明らかにした。さらに、細胞周期停止による細胞死や、抗原刺激によるBリンパ球の細胞死誘導の際に、活性酸素が産生され、活性酸素が細胞周期により制御される細胞死において重要な役割を果たすことを明らかにした。
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