研究課題/領域番号 |
13043018
|
研究種目 |
特定領域研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
|
研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
北川 雅敏 浜松医科大学, 医学部, 教授 (50294971)
|
研究分担者 |
内田 千晴 浜松医科大学, 医学部, 助手 (60223567)
|
研究期間 (年度) |
2001
|
研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
|
配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2001年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
|
キーワード | RBタンパク質 / 細胞周期 / 癌 / ユビキチンリガーゼ / リン酸化 / CDK |
研究概要 |
癌細胞の無限増殖能は細胞周期制御機構の破錠によるところが大きい。特に癌抑制遺伝子産物であるRBタンパク質とp53が中心となるRB経路およびp53経路の異常がほとんどの細胞癌化に寄与するといっても過言でない。しかしながらRB経路に関しては依然として不明の部分が多い。RBタンパク質はE2Fをはじめ、多くの転写因子や分化調節因子と結合し、それらの標的遺伝子の発現を制御していると考えられている。RBタンパク質は基本的に正常細胞分裂だけでなく分化時や老化においても多くの遺伝子を緻密にかつ個別に制御しているがその分子機構は全く不明である。申請者はこれまでRBタンパク質のサイクリン依存性キナーゼ(CDK)によるリン酸化の研究を行ってきた。RBタンパク質には11カ所のリン酸化部位があるが、CDK分子種によりリン酸化される部位が異なることを我々は見出している。また、神経および血液細胞の分化誘導時にCDK活性が変動し、そのCDK分子種に対応したRBタンパク質の部位特異的リン酸化が起こり、分化が進行することも発見した。これら発見に基づき、申請者はRBタンパク質の部位特異的リン酸化による転写因子制御機構に関する仮説を提唱する。つまり、「RBタンパク質上の結合領域は転写因子によって様々で、両者の結合はそれに隣接するRBタンパク質上の部位特異的リン酸化によって制御される」という仮説である。本研究はこれを実験的に証明することにより、RBタンパク質の転写制御機構の全容を解明しようとするものである。平成13年度はRBの多数の変異体の作成をRB依存的転写系など基本的実験条件の整備に成功した。今後はこれらのシステムと既に調製済みのリン酸化抗体、各種サイクリン-CDKを駆使し、部位特異的リン酸化による選択的遺伝子発現制御機構の解明にせまる。これまでRB遺伝子の点突然変異、欠失および転写領域のメチル化による発現抑制が報告されてきた。一方、我々はRBタンパク質の分解亢進による新たな細胞癌化経路の存在を示唆するデータを得た。まず、in vitroのユビキチン化によりRBタンパク質のユビキチンリガーゼの候補を見つけた。このRBUbLase1は細胞にトランスフェクトするとRBタンパク質のユビキチン化が促進して、RBタンパク質の分解速度も亢進することを見いだした。今後はこのRBUbLase1の機能解析をさらに詳細に行い、細胞癌化における機能を検討する。またその分解のシグナルとしてRBタンパク質の部位特異的リン酸化が考えられ、その関与について検証する。
|