研究概要 |
申請者らは,酵母接合時の核内膜融合に必須な因子として,小胞体内腔の新規DnaJホモログJem1pを発見,さらにJem1pと相互作用する核膜タンパク質Nep98pを同定した。Nep98pは核膜融合に関与するが,増殖に必須であり,その変異株はG2/M期で細胞周期の進行が停止し,紡錘体形態に異常が見られた。そこでNep98pの機能を明らかにするために以下の実験を行った。 (1)GFPとNep98pの融合タンパク質(NEP98遺伝子の破壊株の致死性を相補できる)は,過剰生産しない状態で核膜の特にSPB(スピンドル極体)に局在することが明らかになった。したがってNep98pがSPB形成および機能発現に関わっている可能性を支持する結果が得られた。(2)Nep98pの様々な部分欠失体を用いた解析から,Nep98pの内腔側は核膜局在に必要ないが,Nep98pのサイトゾル側の65〜145残基が核膜局在に必須であること,この領域が核膜融合の特に内膜融合よりも前のステップに必須であること,Nep98pの431〜650残基は酵母の増殖およびJem1pとの相互作用に必須であることを見いだした。また(3)Nep98pのJem1p相互作用領域をbaitとして酵母two-hybrird法を用いたスクリーニングを行い,Nep98pと相互作用する因子の検索を行った。その結果,Yfl042pおよびYlr072pという内在性膜タンパク質と思われる候補を得た。しかしこの二つのタンパク質の遺伝子を同時に破壊しても増殖や核融合に影響が見られら無かったので,それらがNep98pの真のパートナーであるかどうかは,さらに解析が必要である。
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