研究概要 |
胚性腫瘍細胞F9のレチノイン酸(RA),アデノウイルスE1Aによる分化誘導はAp1活性の成分の一つであるc-jun遺伝子によって引き金が引かれる。c-jun遺伝子プロモーター上に分化誘導に必要なDRF配列を同定し、ここにDRF(Differentiation Regulatory Factor)複合体が結合することを明らかにしてきた。DRF複合体としてATF-2, p300と新規因子JDP2を同定した。本年度はJDP2の構造を決定し、bZipのDNA結合の高次構造の予測を行った。更にJDP2はin vitro, in vivoでATF-2と会合し、p300, ATF-2によるDRE依存性のc-junの転写活性を抑制すること、更にこの抑制はヒストン脱アセチル化酵素のHDAC3をリクルートすることを明らかにしてきた。また、JDP-2の強制発現はレチノイン酸よるF9の分化誘導を抑制する事を初めて明らかにした。更にJDP-2のプロモーター断片を同定し、c-junの転写抑制に必要なエレメントを-557/-302に同定した。このエレメントは又、p53の強制発現によって更に抑制される。現在その分子機序の解析を進めている。RAR、RXRのKO F9細胞を用いてRAによる分化誘導にはRXRαが関与している事、更にp300のリボザイムを用いて分化誘導にはp21が関与している事を明らかにした。cdk2、cdk4及びcyclin Dもこのカスケードネットワークに関っている。又、JDP-2のドミナントネガティブは、ヒストン脱アセチル化活性を抑制し、c-junのトランス活性化の抑制を示した。これらのツールを使用して更にチェックポイント活性を解析する。
|