研究概要 |
脊椎動物の内部器官は心臓をはじめとして左右非対称性を形成する。我々はほぼすべてのホモ接合マウスにおいて内臓逆位を示す変異体(inv)を発見し、その原因遺伝子をクローニングした。マウスinv遺伝子は1062個のアミノ酸より成る蛋白をコードし,15回の繰り返しを持つアンキリン・モティフを持つ。この遺伝子は新規の遺伝子であり、その機能、そして機能制御に関しては全く不明であった。 我々は、Yeast two hybrid systemを用い、inv遺伝子のアンキリン・モティフ部分をbaitとして腎臓のライブラリーをスクリーニングしたところ、calmodulinが結合することを見いだした。inv蛋白をシークエンスを再検したところ、calmodulinと結合すると考えられるモティフ(IQ motif)が2カ所に見いだされた。さらに、Gel overlay assayにてcalmodulinはcalicium binding proteinであり、標的蛋白との結合はcalciumによって制御されていることが知られている。そこで、CA2+,EGTAを反応液に加えて、inv-calmoduinの結合を調べたところ、通常の場合とは逆にEGTAにてCa2+を除去したときにinv蛋白とcalmodulinの結合が観察され、Ca2+存在下ではこの結合は逆に抑制されることがわかった。 また、inv蛋白とGST融合蛋白、およびinv蛋白のペプチドに対する抗体を作製した。これらの抗体はinv遺伝子を導入したcos細胞においてinv蛋白をwestern blotにて検出した。inv遺伝子を導入したcos細胞を細胞分画してどの各分にinv蛋白が存在するかを検出しようと試みたが、inv蛋白の可溶化が出来ず同定するに至らなかった。
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