研究課題/領域番号 |
13125208
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
島田 秀夫 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (80095611)
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研究分担者 |
藤井 浩 岡崎国立共同研究機構, 統合バイオサイエンスセンター, 助教授 (80228957)
林 高史 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (20222226)
向井 邦晃 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80229913)
菱木 貴子 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10338022)
江川 毅 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10232935)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
40,600千円 (直接経費: 40,600千円)
2003年度: 7,600千円 (直接経費: 7,600千円)
2002年度: 8,300千円 (直接経費: 8,300千円)
2001年度: 24,700千円 (直接経費: 24,700千円)
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キーワード | コンポジット生体触媒 / 遺伝子治療 / ヘム / ミオグロビン / チトクロム酸化酵素 / プロトンポンプ / 膜蛋白質 / 無細胞蛋白合成系 / 膜たんぱく質複合体 / ポルフィセン / 亜硝酸還元酵素 / ペルオキシダーゼ / 膜タンパク質複合体 / 部位特異的アミノ酸置換 / ミトコンドリア / シトクロムP450 / オーダーメイド / 水素イオン供給 / 過酸化水素 / ペルオキシゲナーゼ / 亜硝酸イオン還元酵素 |
研究概要 |
膜蛋白質複合体の発現系構築:ヘムを基礎とする高機能複合たんぱく質の創製とその支援的研究の一環として、ミトコンドリア(mt)のウシチトクロム酸化酵素の発現系を構築した。本酵素は、核とmtにそれぞれエンコードされる多数のサブユニットからなる。最大サブユニットであるmt由来サブユニットI(SI)が本酵素機能に必須だが、ヒトHeLa細胞核に、強力なプロモーター支配下のウシSI遺伝子を組み込み、細胞質で発現したSIをmtに輸送させ、ウシSIとヒト由来サブユニットからなる雑種チトクロム酸化酵素発現系を開発した。雑種酵素はヒト本来の酵素と遜色ない酸素還元活性と、それに共役したプロトンポンプ活性をもつ。宿主内には、純粋のヒト酵素が共存するが、雑種酵素が圧倒的に多く発現する。本発現系を用い、プロトンポンプの鍵アミノ酸残基を見いだすとともに、ポンプ能のみ失活した酵素を作製し、二つの機能が分離可能なことを実証した。今回開発した方法は、mt由来膜蛋白質変異に起因したミトコンドリア機能障害の治療に適応可能なため、新規ミトコンドリア病の遺伝子治療法の開発に発展する。また大腸菌の無細胞タンパク合成系で、外来的に補欠分子族ヘムを加え、土壌細菌Paracoccus denitrificansチトクロム酸化酵素を機能発現させた。本発現系により、高度に疎水的な膜蛋白質に外来性ヘム導入が可能となった。 化学修飾ヘムを用いた高機能触媒体の創製:ミオグロビン(Mb)の活性中心ヘムを特定の機能を発揮するように化学修飾をデザインし、酸素保存体であるMbにmonooxygenase活性、peroxygenase活性、peroxidase活性をそれぞれ付与できた。また活性中心ヘムを非天然ポルフィセン(ポルフィリン鉄錯体の構造異性体)に置換し、酸素親和性を1000倍に増大させとともに、蛋白部分の改変と組み合わせ、非常に高い酸化活性を発揮させた結果、環境ホルモンをきわめて効率よく酸化分解した。以上の成果は、高機能触媒体の創製に化学修飾ヘムなど非天然ヘム導入が極めて有効であることを示す。今回の研究成果は、本研究グループによる蛋白質改変と非天然ヘム導入を組み合わせた高機能触媒体の創製法が、高度に疎水的膜蛋白質複合体を基礎とする新規触媒体開発研究に適応可能なことを示した。
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