配分額 *注記 |
10,700千円 (直接経費: 10,700千円)
2003年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2002年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
2001年度: 4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
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研究概要 |
燃料電池は、燃料と酸素を|陽極|電解質膜|陰極|からなる隔膜の両側に導入し、電気化学的に両者を反応させ、これに伴う自由エネルギー変化を電力として取り出すデバイスである。通常の燃料電池の場合には、燃料(反応物)は完全酸化される。 本研究において,陽極の電極触媒を改良することにより完全酸化活性を抑制し、部分酸化活性を発現させることができた。具体的には,[エチレン、水蒸気|Pd-陽極|リン酸電解質膜|Pt-陰極|酸素]からなる反応システムを用いることにより、両電極間を短絡するだけで燃料電池の原理で電流が流れ、触媒的にエチレンの部分酸化生成物であるアセトアルデヒドが選択率よく生成することを見出した。この反応システムは電解合成ではあるが、外部からは電圧を全く掛けておらず、反応システム全体としては触媒反応である。また、|Pd-陽極|リン酸電解質膜|Pt-陰極|を隔膜として、反応物と酸素が分離したままの状態、つまり酸化反応場と還元反応場を物理的に隔てた状態で触媒反応を実施することができる特長を有している。さらに、本反応システムは燃料電池でもあるので発電も可能である。つまり有用な化学品と電力とのコ・ジェネレーションが可能となった。 上記反応系の実用化へ近づくため,反応活性の比較的向上を試みた結果,カソード反応にNOxメディエータを組み込むことによりアセトアルデヒド生成活性が10倍に向上することを見出した。本反応系はより付加価値の高いプロピレン酸化にも有効であった。また,本反応系をアルケンよりも遥かに反応性の低いアルカンの部分酸化に応用することを試み,電圧を掛けた状態ではあるが,常温常圧の極めて温和な条件でシクロヘキサンを選択的に部分酸化できることを見出した。さらに本反応系を水素の部分酸化による過酸化水素合成に適用し,効率よく過酸化水素が生成することを見出している。
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