配分額 *注記 |
27,500千円 (直接経費: 27,500千円)
2003年度: 9,000千円 (直接経費: 9,000千円)
2002年度: 9,000千円 (直接経費: 9,000千円)
2001年度: 9,500千円 (直接経費: 9,500千円)
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研究概要 |
本研究では、リビングラジカル重合およびリビングカチオン重合を用いで、星型ポリマーの核や枝部分に官能基、さらに金属錯体を導入し、ナノ空間が制御されたレドックス反応場を有するポリマーを合成し、これを用いたレドックス反応を検討した。 1.リビングラジカル重合による星型ポリマー ルテニウム錯体を用いてメタクリル酸メチルのリビングラジカル重合を行い、異なる量のホスフィンモノマーとジビニル化合物を添加して、ミクロゲル核に種々の量のルテニウム錯体を有する星型ポリマーを合成した。反応条件により、枝の本数20-30本、半径9-13nm、核中のルテニウム量がポリマー1gあたり31-74μmolのものが合成可能であった。この星型ポリマーは、種々のアルコールからケトンへの酸化反応触媒として働き、とくに芳香族の基質に対して選択性が高いことが示された。またさらに、枝ポリマーとして親水性のポリエチレングリコール鎖を有するものも合成し、これによる酸化還元反応の触媒能を調べたところ、ケトンからアルコールへの還元反応において、元のルテニウム錯体より高い活性能をもち、周りの枝ポリマーによって囲まれたナノ空間が、特殊な反応場として働く可能性が示された。 2.リビングカチオン重合による星型ポリマー ビニルエーテルのカチオン重合により合成した枝の末端または側鎖にクロロを有するリビングポリマーとジビニルエーテルを反応させ,星型ポリマーを高収率で得た。次いで,枝にあるクロロを段階的にアミノ基からホスフィン(変換率80%以上)へと変換した。このように枝に導入したホスフィン配位子にルテニウムを配位させることに成功した。さらに,この星型ポリマー錯体が,アルコールの酸化反応などの触媒として作用することがわかった。また,側鎖にオキシエチレン鎖を有する枝からなる親水性星型ポリマーが,温度応答性を示すことがわかった。これらの星型ポリマーは,枝の長さ,組成を選ぶことで,水に不溶な疎水性化合物(アゾベンゼンなど)を分子あたり約数十から400個と,非常に効率よく捕捉した。
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