研究課題/領域番号 |
13130203
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 東京大学 (2004) 大阪大学 (2001-2003) |
研究代表者 |
金道 浩一 東京大学, 物性研究所, 教授 (20205058)
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研究分担者 |
鳴海 康雄 東京大学, 物性研究所, 助手 (50360615)
竹内 徹也 大阪大学, 低温センター, 助手 (90260629)
小林 達生 岡山大学, 理学部, 教授 (80205468)
萩原 政幸 大阪大学, 極限量子科学研究センター, 教授 (10221491)
坂井 徹 日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 主任研究員 (60235116)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
115,100千円 (直接経費: 115,100千円)
2004年度: 18,100千円 (直接経費: 18,100千円)
2003年度: 31,700千円 (直接経費: 31,700千円)
2002年度: 31,900千円 (直接経費: 31,900千円)
2001年度: 33,400千円 (直接経費: 33,400千円)
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キーワード | 強磁場 / 磁化測定 / 磁化プラトー / スピン梯子鎖 / 酸素分子 / BIP-TENO / 磁化過程 / 交替磁場 / Cu benzoate / 磁場誘起スピンギャップ / ブリーザーモード / Cu pyrimidine / 吸着酸素 / スピンラダー / パルスマグネット / 非磁性基底状態 / 量子スピン / SPring-8 / 超強磁場 / 磁化ジャンプ / 金属-絶縁体転移 |
研究概要 |
本研究では、70テスラまでの磁化測定を日常的に行えるような装置開発を行い、これを用いて強磁場で誘起される様々な量子現象を観測した。例えば、スピン1の反強磁性梯子鎖と考えられている物質BIP-TENOで1/4プラトー全貌の観測に成功した。この物質の磁性はラジカルが担うため、スピンは1/2であるが、スピン間に大きな強磁性相互作用が存在する事により結果としてスピン1を形成している。結晶構造からこのスピン1が梯子鎖状に配置され、磁気測定からそのスピン間の相互作用が反強磁性的であると見なされている。また、これまでの強磁場磁化測定により、約44テスラから1/4プラトーが観測されていたが、このプラトーの発現は自明ではなかった。本研究により磁化測定を70テスラまで拡張することにより初めてこのプラトーが65テスラ付近で終わることが分かり、またこれがプラトーであることを確認できた。プラトーの全貌が観測できたことにより、その発現機構解明に役立つと考えられる。一方、70テスラの磁化測定で誘起された新現象の一部が観測されたケースもある。その代表例が吸着酸素の磁化測定である。酸素分子はそれ自体がスピン1を持つ磁性分子であり、低温における凝縮状態では反強磁性の磁気秩序(ネール状態)を示す。この酸素分子をある種の一次元的な細孔を持つ錯体に吸着させたところ、低温でネール状態とは異なる非磁性状態となった。また構造解析の結果、酸素分子が梯子鎖を形成していることが明らかとなった。磁化測定では50テスラ付近から非磁性状態が壊れ、磁気的な状態へと転移して、磁化が非線形な増加を始める様子が観測された。しかしながら、BIP-TENOとは異なり、プラトーは観測されていない。この現象を解明するためには非磁性基底状態の理解が必要である。また、異なる銅錯体に吸着された酸素では、低温においても非磁性を示さず、強磁場磁化過程においてまず飽和磁化の1/3プラトーが観測された。
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