研究分担者 |
鏑木 誠 神戸大学, 国際文化学部, 教授 (40093504)
大久保 晋 神戸大学, 分子フォトサイエンス研究センター, 助手 (80283901)
野尻 浩之 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (80189399)
菊池 彦光 福井大学, 工学部, 助教授 (50234191)
稲垣 祐次 神戸大学, 自然科学研究科, 助手 (10335458)
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配分額 *注記 |
115,900千円 (直接経費: 115,900千円)
2004年度: 20,400千円 (直接経費: 20,400千円)
2003年度: 30,100千円 (直接経費: 30,100千円)
2002年度: 31,400千円 (直接経費: 31,400千円)
2001年度: 34,000千円 (直接経費: 34,000千円)
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研究概要 |
ダイヤモンド鎖、Δ鎖、ジグザグ鎖など様々な低次元磁性体のモデル物質を開拓し,以下のような新奇な磁場誘起量子現象の観測に成功した。 1)ダイヤモンド鎖のモデル化合物Cu_3(CO_3)_2(OH)_2を世界で初めて発見した。その単結晶の磁化率の温度依存性を測定したところ、二温度において極大がある事を見いだし,短距離秩序の発達が二段階に進むことを見い出した。さらに,極低温での強磁場磁化の測定から,理論的に予測されたような1/3プラトーを発見した。これはダイヤモンド鎖における磁化プラトーを実験的に実証した最初の例である。理論曲線と比較してスピン間相互作用を評価することができた。また,強磁場ESRからそのダイナミクスと磁化プラトーに対応するESRモードを明らかにした。 2)Cu-benzoateにおいてはブリーザーモードの飽和磁場に至る観測,高磁場における磁場誘起ギャップの減少の観測,飽和磁場以上での励起モードへのクロスオーバーの観測がおこなわれた。BaCu_2(Si_<1-x>Ge_x)_2O_7においては,混晶系にもかかわらず,ブリーザーモードが確認された。 3)直交ダイマー系SrCu_2(BO_3)_2の高次励起構造が解明され,two-triplet束縛状態の詳細な観測がおこなわれた。 4)巨大反強磁性多面体における磁化プラトー異常を発見し,プラトー概念の有限系への拡張をおこなうとともに,5角ネットワークを含む系のフラストレーション効果を観測した 5)10kbarの高圧下で強磁場ESR測定を可能にするシステムを開発した。この装置でダイマー系KCuCl_3の圧力下強磁場ESR測定を4.2Kでおこない,スピンギャップが660GHz(常圧)から200GHz以下(6.5kbar)に減少することが直接的に観測された。 6)強磁場ESR測定により,有限ハルデン系の低エネルギー励起(鎖端スピン状態)を鎖長分解的に直接観測することに成功した。その結果,低温における相関長という系本来の情報を直接的に精度よく得ることができることを明らかにした。
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