研究課題
特定領域研究
本研究では核酸に基づく高機能材料を開発するのに必要な基礎的知見を確立することを目指して、化学修飾・合成した修飾・人工核酸の諸機能を分子レベルで明らかにすることを目指した。具体的には核酸に刺激応答機能を付与し、特定の化学種の有無やpHや温度と言った外部環境因子を外部刺激として、DNAとの錯体形成、高次構造、たんぱく質結合能などを可逆的に制御することを目標にし、外部刺激による可逆的核酸認識能を有するペプチドリボ核酸(PRNA)の開発に取り組んだ。PRNAはホウ酸類等を外部因子とし核酸塩基部のanti/syn配向が可逆的に制御可能であること、相補的核酸との錯体形成・解離の可逆的制御が可能であることを明らかとした。4種類の核酸塩基有するPRNAモノマーを合成し、いくつかのシーケンスを有するオリゴマーを合成し、ターゲットDNAとの相互作用・融解温度・コンプレックスの高次構造についてUV・CDスペクトルにより検討した。その結果、プリン-ピリミジン混合配列を有するオリゴマーもリン酸緩衝液中でピリミジン塩基部はanti配向を優先するのに対し、ホウ酸添加系では効率よくsynに配向変化することが明らかとなった。さらに、PRNA12量体を用いてPRNA-DNA錯体形成について検討した結果、リン酸緩衝液中約40%の淡色効果を示し、35℃のTmを示す安定なコンプレックスを形成することが明らかとなった。この系にホウ砂を添加すると錯体が迅速に解離することが示された。またD-グルタミン酸を主鎖骨格にもつPRNAを合成し、L-体より安定な錯体を形成することを明らかとした。またα-グルタミン酸主鎖骨格を有するα-PRNAを設計・合成し、外部因子によってその塩基部配向を可逆的に制御可能であることを明らかとした。以上の本研究により四種の塩基を有するPRNAの合成法を確立し、ホウ酸存在下pHを外部因子として塩基部配向の可逆的制御を達成し、その塩基部配向制御を通じて核酸認識機能の可逆的制御に成功した。また、ペプチド主鎖骨格を有する核酸モデルにおいて、高次構造が核酸との錯体の安定性に非常に重要な役割を果たしており、DNAとの錯体の安定性には、ペプチド主鎖骨格が形成する高次構造が大きく影響することを見出し、外部刺激応答性人工核酸設計の一般的指針と具体的方法論を確立した
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