配分額 *注記 |
59,000千円 (直接経費: 59,000千円)
2004年度: 8,200千円 (直接経費: 8,200千円)
2003年度: 9,500千円 (直接経費: 9,500千円)
2002年度: 18,100千円 (直接経費: 18,100千円)
2001年度: 23,200千円 (直接経費: 23,200千円)
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研究概要 |
大要,以下の二項目の成果を得た. 1.剛直環状分子を用いたスマートメンブレンの分子設計と機能予測:剛直鎖で構成される環状分子は分子内キャビティー構造も剛直で安定であろうという予測を元に,新規分子の設計シミュレーションを行った結果,含フッ素イミドを構成要素とする環状分子が候補として浮上し,その安定構造から分子内キャビティー径が制御できる可能性を示すとともに,凝集構造の制御方法を検討した.A班で実際に合成された分子の実験結果と比較検討し,機能性の向上に側鎖構造が大きく影響することを明らかにした.アラミドを骨格とする環状分子の設計も同様に行い,環状分子の堆積によって円筒型の分子キャビティー構築の可能性を示した.これらの環状分子を用いてスマートメンブレンを作成する上で,アルキル側鎖と溶媒の相互作用を利用することが一つの方策であるとの結論を得た.これらは,新規スマートメンブレンの分子設計手順とその機能を知る上で有用である. 2.シンジオタクチックポリスチレン結晶内の分子キャビティーと低分子との相互作用予測:シンジオタクチックポリスチレン(s-PS)の4種の結晶型(α,β,δ,δe)についてモデル構築を行い,分子動力学(MD)シミュレーションから実験事実に対応した平衡構造を得た.これらにおける分子間空隙のサイズ,形状,連結性について詳細に検討した結果,δ型結晶で「分子キャビティー」,α型結晶で「分子キヤピラリー」と呼ぶべき異なった形態を見出した.これらと低分子の運動性,拡散挙動との関連性についてもMDシミュレーション解析した結果,溶媒分子の浸透は結晶格子方向に関し強い異方性があることと,溶媒の交換過程としてδ型結晶中のベンゼンが液相に移動し,生じた空孔にクロロホルムが浸透する様子が,シミュレーションにより明らかにされた.実験で観察不可能な素過程を本シミュレーションにより初めて明らかにできた.
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