研究課題/領域番号 |
13138203
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 岡崎国立共同研究機構 |
研究代表者 |
下野 明彦 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助手 (10321605)
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研究分担者 |
佐々木 洋 理化学研究所, 発生・再生科学総合研究センター, チーム・リーダー (10211939)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
38,000千円 (直接経費: 38,000千円)
2002年度: 17,500千円 (直接経費: 17,500千円)
2001年度: 20,500千円 (直接経費: 20,500千円)
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キーワード | マウス初期胚 / 頭部形成 / Lim1 / Visceral endoderm / Wnt / 下流遺伝子 / 細胞移動 / visceral endoderm / headless |
研究概要 |
本研究は、頭部形成に関わる遺伝子カスケードを明らかにすることを目的とした。このために、頭部形成を制御するLim1転写因子の直接、又は間接の下流遺伝子を単離し機能を解析することにした。マウスLim1変異体と野生型胚を用いたディフィレンシャル・スクリーニングによって、Lim1変異体で発現量が低下する新規遺伝子としてStoma(Angiomotin)遺伝子を単離した。マウス変異体の解析によりStoma(Angiomotin)遺伝子が胚体外組織でvisceral endodermの移動を制御することを示した(諭文発表の都合、StomaをAngiomotinと改めた)。 さらに、AngiomotinによるVEの移動制御の分子機構を示すため、相互作用因子の同定と解析を進めた。Yeast two-hybrid systemにより、Yap65遺伝子を単離した。Yap65はc-Yesに相互作用するWW domain因子として単離されていた。最近、TEF/TEADファミリーの転写因子群と相互作用し、核内で転写活性化因子として機能することが知られている。これまでに、AngiomotinとYap65との相互作用において、WW domainが必要であること、AngiomotinのN末ドメインに存在する4アミノ酸からなる配列が相互作用に必須なこと、両者が培養細胞内においても相互作用していることを免疫沈降法、免疫染色によって確認した。 一方、ディフィレンシャル・スクリーニングを継続した結果、sfrp1遺伝子を単離した。sfrp1タンパク質は、Wntファミリーと相互作用して機能阻害することが予想されている。遺伝子発現の解析の結果、原腸陥入期の胚のanterior mesendodermにおいて発現が認められた。変異マウス作成による機能解析を目的に、生殖系列キメラマウスを得た。 また、研究分担者は、トランスジーンの挿入により、出生時に前頭部を大きく欠失するという頭部誘導の異常に特徴的な表現型を示す劣性変異マウス系統(headshrinker ; hhr)を樹立した。発生過程の解析の結果、hhrホモ変異胚では、後期の前方中内胚葉あるいは前方神経外胚葉の異常が原因となり、胎生8日以降で前頭部が退縮することが明らかになった。トランスジーンは候補遺伝子の約100kbに及ぶ巨大なイントロンに挿入されており、ホモ変異胚においてはその発現が野生型の約40%に低下していた。候補遺伝子のcDNAにより頭部欠失の異常を回復できたことから、hhr変異体はHhr遺伝子の発現が低下するhypomorphic変異と考えられた。したがって、頭部誘導にはHhr遺伝子の発現量が一定レベル以上あることが必須であることがわかった。
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