研究課題/領域番号 |
13204017
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研究種目 |
特定領域研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
野入 英世 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (00301820)
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研究期間 (年度) |
2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
2001年度: 4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
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キーワード | 虚血再灌流障害 / 急性腎不全 / ヒト近位尿細管細胞 / 低酸素ストレス / マクロアレイ法 / non-RI |
研究概要 |
はじめに本研究では、客観的な評価基準としてアレイ法を導入し、遺伝子発現のパターンにより急性腎不全が可逆的か不可逆的かをin vitro・in vivoにおいて検討した。 本年度の成果 虚血再灌流障害は、近位尿細管細胞障害が病態の首座であることより、ヒト近位尿細管細胞HKC-8を用いた。HKC-8の機能的解析及び低酸素ストレスの最適条件は昨年度決定した。37℃にて嫌気バックを用いて可逆的障害モデルは低酸素化時間時間、再酸素化時間が、非可逆的障害モデルでは低酸素化時間時間、再酸素化時間が最適である結果を用いた。昨年度HKC8にて確立した低サイクルPCR法を組合せたnon-RIターゲット増幅法によりClonTech社製nylon membrane cDNAアレイを行った。HKC-8について検討した遺伝子総数は3528、低酸素ストレスに対して可逆的な実験方法(低酸素時間+再酸素時間)では対照群に対してセリン・プロテアーゼ、Raf反応性蛋白の遺伝子群が発現増強を認めた。一方、非可逆的な実験群(低酸素15時間+再酸素時間)は対照群に対してG1/S cyclin、IL-1受容体の遺伝子群が発現増強を認めた。ここで発現の増減は1.8倍以上の差を有するもののみに絞り、2〜3回の実験で再現性のある結果を採用した。 次にin vivoの実験としてマウスの虚血再灌流モデルでの実験を行った。マウスは遺伝子操作動物が多く有用性が高いと考えられた。しかし、マウスではまず虚血再灌流モデル自体が十分確立しておらず、再現性のあるデータを得るための実験手技の調整に時間要した。特に温度管理は重要であった。マウスでは可逆性のモデルとして15分間の虚血時間と24時間の再灌流時間、非可逆性モデルとして虚血時間45分間、再灌流時間24時間をとった。当初C57/BL、BDF1などの系統で行ったが、再現性がやや悪く近交系ICRを用いて良好な再現性を得ることができた。虚血再灌流腎障害の首座である腎皮髄境界部組織により遺伝子総数2370をClonTech社製nylon membrane cDNAアレイで解析した。可逆群でFK506結合蛋白の遺伝子群が発現増強を認め、また非可逆群ではMEKや5'nuclease、IL-18の遺伝子群が発現増強を認めた。発現低下を生じた遺伝子群としては、ラミニン、CSF及びその受容体が認められたが、これらは可逆性・非可逆性の両群において認められた。現在ラットにおける検討を開始しており、年度内に終了の見込みである。
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