研究課題/領域番号 |
13204021
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研究種目 |
特定領域研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
笹川 昇 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (70302817)
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研究期間 (年度) |
2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2001年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
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キーワード | トリプレット・リピート / 筋強直性ジストロフィー / RNA機能獲得 |
研究概要 |
筋強直性ジストロフィー(DM)は、その遺伝子変異がタンパク質をコードする領域に無いにも関わらず、優性遺伝の形式で発症する。責任遺伝子DM protein kinase (DMPK)の3'側非翻訳領域には(CTG)トリプレット・リピートがあり、正常対照に比べて患者ではリピート数が増幅していることが知られている。私は人工的に(CTG)リピート配列を増幅させる技術を既に確立しており、マウス筋芽細胞C2C12株にリピートの伸長したヒトDMPKを導入し、安定に発現させる系(DMモデル細胞)を保持している。今回、このモデル細胞に過酸化水素、メナジオンといった酸化剤を与え、その感受性を検討したところ、リピートが増幅したモデル細胞で有意に酸化ストレスに対する高感受性が観察された。今回の実験はリピートの長さが正常である以外は全く同条件のモデル細胞を対照にしていることから、今回見出された酸化ストレス脆弱性がリピートの増幅によって特異的に起こっていることが示唆された。次に、私はリピート伸長及び酸化ストレスによって起こる変化を遺伝子レベルで特定するため、DNAマイクロアレイ解析をおこなった。その結果、酸化ストレスを与える以前から、リピートが増幅しているだけで既に発現変化している遺伝子が存在することを見出した。 また、DMと同様の症状を示し、ZNF9と呼ばれる責任遺伝子のイントロンにあるCCUG四塩基リピートの伸長が発症の原因とされる例も本研究期間内に発表された。そこで、これらリピートRNAと、RNA結合タンパク質との親和性を、酵母three-hybrid系を用いて検討した。その結果驚くべきことに、従来から重要と思われてきたCUG-BPはCUG配列との親和性があまりなく、むしろUG二塩基配列と高い結合能を示すことが明らかになった。一方、EXPはCUG配列とCCUG配列の両方と結合能を示した。このことから、リピートの増幅によって起こる「RNA機能獲得」に直接作用するタンパク質はEXPであること、DM1とDM2は共通の発症機構を持つ可能性があることが示唆された。
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