研究概要 |
○NIDDM遺伝子座におけるコンジェニック系統の作製およびQTLの確証 QTL解析により、OLETFラットにおけるNIDDM発症に関与する原因遺伝子座が14個検出されている。これらのQTLについて、そのQTLゲノム領域のみがOLETF由来ゲノムとなっており、それ以外のバックグラウンドゲノムがF344のレシピエントゲノムとなっているコンジェニック系統をマーカーアシストスピードコンジェニック法により作製した。このコンジェニックをマーカー型タイピングすることにより、QTL解析で得られたゲノムインターバルがOLETF由来の移入ゲノムとなっていることを明らかにした。また、このコンジェニックの血糖値を測定したところ、14個のうち4個のQTL、Nidd1,2,8,10についてのコンジェニックはレシピエントであるF344に比べ高血糖を示し、それらのQTLの存在が確証された。それ以外の10個については、NIDDM QTLとしての確証が得られなかった。しかし、Nidd6はコンジェニック解析により肥満に影響するQTLであることが確証された。 ○Nidd QTLにおける候補遺伝子の解析 Nidd1,2,6,8 QTLのそれぞれの候補遺伝子であるHnf4g, Nkx6a, Pnlip, Pnliprp1,Pnliprp2,Capn10,Neurod遺伝子の解析を行った。Capn10,Neurod遺伝子は当該Nidd QTLのゲノム領域に存在しなかったが、それ以外の候補遺伝子は存在することが判明した。Pnlip, Pnliprp1,Pnliprp2遺伝子では、OLETFにおける変異が検出されなかった。発現レベルについては、Hnf4g, Nkx6a遺伝子ではOLETFとF344との間に差が認められなかったが、Pnlip, Pnliprp1,Pnliprp2遺伝子の予備的解析では差が検出された。 ○Nidd QTLのファインマッピング Nidd2,6 QTLのゲノム領域を限局するためには、コンジェニックとF344との間での戻し交雑群を用いた遺伝的解析が必要となる。この目的のために、(コンジェニック雌×F344雄)F1雌を作製した。また、このQTLゲノム領域に位置する多型マーカーについて検討した。
|