研究概要 |
日本人2型糖尿病同胞対256組(368名)を対象とした罹患同胞対法による全ゲノム解析を終了した。13年度初頭には染色体9番短腕に有意な連鎖を認ていたため、ピーク付近に位置する6種類の新たなmicrosatellite markerを用いたdense mappingを行った。その結果、染色体9番短腕領域に再現性は確認できなかったが、最終的には統計学的に連鎖の可能性が示された領域(nominal evidence for linkage,MLS>0.59,P<0.05)を13箇所特定した。これらのうち最も強い連鎖が示されたのは染色体21番長腕上であった。さらに、肥満度(BMI:body mass index, body weight(kg)/(height)(m)^2)や糖尿病の診断時年齢により、対象を細分化して再解析したところ、診断時年齢<56歳の116家系において染色体21番長腕上でsuggestive evidence(MLS>2.32,P<0.001)の領域が認められ、全家系を対象とした場合より強い連鎖が示された。また、BMI<22と痩せ型の患者群55家系では、既に報告されている候補遺伝子領域にほぼ一致してsuggestive evidenceが示された。 2型糖尿病の全ゲノム解析の報告はこれまで大部分が白人を対象とした成績であり、日本人を含むアジア人2型糖尿病の遺伝素因は明らかでなかった。今年度の我々の成果により東京大学と本学において独立した2パネルの日本人2型糖尿病の全ゲノム解析が終了したことになり、今後は焦点を絞って研究を推進することが可能となった。
|