研究課題/領域番号 |
13206011
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 立教大学 (2003-2004) 東京大学 (2001-2002) |
研究代表者 |
黒岩 常祥 立教大学, 理学部, 教授 (50033353)
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研究分担者 |
佐藤 直樹 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (40154075)
田中 寛 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教授 (60222113)
野崎 久義 東京大学, 大学院理学系研究科, 助教授 (40250104)
太田 にじ 埼玉大学, 理学部, 助手 (60257186)
中村 宗一 琉球大学, 理学部, 教授 (00201674)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
97,500千円 (直接経費: 97,500千円)
2004年度: 24,000千円 (直接経費: 24,000千円)
2003年度: 24,000千円 (直接経費: 24,000千円)
2002年度: 22,500千円 (直接経費: 22,500千円)
2001年度: 27,000千円 (直接経費: 27,000千円)
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キーワード | ゲノム / 真核生物 / オルガネラ / 紅藻 / 分裂装置 / 極限環境 / イントロン / 分子系統解析 / シゾン / 真核生物全ゲノム解読 / マイクロアレイ / 全テロメア解読 / 全セントロメア解読 / Cyanidioschyzon merolae / 真核生物ゲノムの解読 / 植物の起源 / 真核生物の最小遺伝子セット / 最小rRNAセット / 真核細胞起源 / 核ゲノム / ミトコンドリアゲノム / 真核生物の起源 / 真核植物の起源 / ゲノム解析 / 始原的真核生物 / EST解析 / 極限環境生物 / オネガネラ起源 |
研究概要 |
極限環境(45-55℃, pH 0-1.5)に棲息する原始紅藻シアニジウム類の1種、Cyanidioschyzon merolae(シゾン)のゲノムについて、塩基配列を100%完全解読した。真核生物としては世界で最初の例である。また、これまでに決定されていたミトコンドリアゲノム(Ohta et al, NAR 1998)、葉緑体ゲノム(Ohta et al. DNA Res. 2003)と併せて、1真核生物の3ゲノムを完全解読したことになる。ゲノムサイズは16,520,305塩基対で、染色体は20本であった(Matsuzaki et al. Nature 2004)。総遺伝子数は5,331個であり、これは従属栄養性の酵母、寄生性のマラリア原虫とほぼ同数で、タンパク質をコードする4,771個の遺伝子のうち1,620個の遺伝子は高等植物のものと共通であった。シゾンはこれまでに解析されている真核生物の中では最小セットの遺伝子を持ち、特にリボソームを構成するリボソーマルRNA遺伝子が3セットしか存在していなかった。更に、イントロンを持つ遺伝子が僅か26遺伝子しかなく、転写・翻訳の過程もあまり修飾を受けない単純な仕組みであることが明らかとなった。代謝系に関しても各パスウェイにアノテーションされる遺伝子(648個)が明らかされ、ゲノム解読の完了した真核生物の中では最少である。またシゾンのゲノム解析過程で50万クローンの完全長cDNAを得、その3万8千クローンについてEST解析したところ、約90%の遺伝子が発現していた。即ち真核生物として最も完全なEST情報が得られたことになる。これらの完全なゲノム情報を基に、多角的な手法で分子系統解析をおこなったところ、シゾンが植物、ひいては真核生物の基となる系統的立場にあることが明らかとなった(Nozaki et al. JME 2003)。特に、真核生物を特徴づけるミトコンドリアや葉緑体の起源、遺伝、分裂増殖に関する機構に関してもゲノム情報より新たな知見を得ることが出来、当初の目標以上の成果が挙げられたと考えている(Nishida et al. PNAS 2003, Miyagishima et al. Plant Cell 2003)。以上のゲノム情報は真核細胞の基本原理の解明に向けたポストゲノム研究への道を大きく拓いた。今後はこのゲノム情報を基盤に、シゾンを真核生物の細胞システムととらえ、トランスクリプトーム、プロテオーム、メタボロームそしてフェノーム解析といった「オミクス解析」へと展開する計画である。
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