研究課題/領域番号 |
13206063
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研究種目 |
特定領域研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
田賀 哲也 熊本大学, 発生医学研究センター, 教授 (40192629)
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研究期間 (年度) |
2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
2001年度: 6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
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キーワード | 細胞分化 / 転写因子 / ゲノム情報 / DNAメチル化 / エピジェネティクス / 神経幹細胞 |
研究概要 |
個体発生に伴う生体内各器官・組織の形成においては様々な細胞系譜の厳密な制御プログラムの基盤となるゲノム構築システムの存在が必須である。各々の器官・組織を構成する種々の細胞系譜のもととなる器官・組織特異的幹細胞の分化制御はそれら幹細胞が存在する場に働く増殖分化因子や接着因子などからの細胞外来性の情報シグナルによる遺伝子の発現制御が重要な役割を担っていると考える。また、場の情報シグナルという細胞外来性のシグナルとは別に、ゲノム情報の発現制御にはDNAメチル化やヒストンアセチル化などのエピジェネティックな修飾に代表される細胞内在性のプログラムも重要な役割を果たしている。本研究はこのような背景をもって、細胞系譜制御機構をゲノム情報の制御という観点から明らかにすることを目的として実施された。 成果1:中枢神経系幹細胞のin vitroでの多分化能維持に必要な因子basic FGFを添加した神経幹細胞培養画分とbasic FGFを除いた培養画分からmRNAを抽出してマイクロアレイにて解析し、両者に発現量の変化のあるクローンを幾つか見いだしたので、時空間的発現解析と機能解析を実施中である。 成果2:ニューロンやアストロサイトのもとになる前駆細胞は共通でありながら胎生中期の脳ではニューロン分化は盛んに生じるがアストロサイト分化は皆無で、一方胎生終期になるとニューロン分化は殆ど見られず代わってアストロサイト分化が優位となる点に着目した研究を実施した。アストロサイト特異的マーカー分子GFAPの遺伝子プロモーターにはGFAP遺伝子発現にクリティカルな転写因子STAT3の認識配列が存在する。そのSTAT3認識配列に存在するシトシンが胎生中期では高度にメチル化され、胎生後期にはそのメチル化が外れることと、そのSTAT3認識配列のメチル化がSTAT3のDNA結合と転写活性化とを阻害することを見いだした。これらの結果はアストロサイトの細胞系譜の制御にはDNAメチル化というエピジェネティックなシグナル制御機構が関与することがわかった。
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