研究概要 |
配列情報の空間符号化を利用した配列間マッチング技術に対して,符号化規則の変更や出力モアレ縞の解釈によって得られるゲノム配列間の情報抽出法を検討した.これらの手法を,公開ゲノム配列データベースより取得したDNA及び,アミノ酸配列に適用し,評価を行った.その結果,以下に示す成果を得た. 1.モアレ情報端末の利用性向上のため,液晶ディスプレイ上に2配列の符号化画像を表示する方式を検討し,所望のマッチング結果を得ることに成功した.これより,コンピュータ制御による簡易視覚端末が実現できることを確認した. 2.アミノ酸配列間の類縁性を含めた比較情報を抽出するため,疎水性パラメータを空間符号に導入する手法を考案し,弱相関配列の検出を試みた.既存のホモロジー検索ツール,モチーフ抽出ツールとの比較から,アミノ酸配列比較技術としての有効性を示した. 3.ドットプロット法との比較により,提案手法が有する特長を明らかにした.モアレ現象の特性により適度な情報抽出が行われ,DNA配列に対してもフィルタリング処理なしで有用な情報が抽出できる点,表示に必要なデータ数を減少でき,高速かつ簡便にデータ更新が行える点,検査範囲が等しければ,より高い視認性で出力が得られる点などである. 4.高密度符号化法を開発し,10万要素の同時比較の可能性を示すことができた.いくつかの特定の縦列反復配列部位において観察される特徴的な2次元モアレパターンを明らかにした.また,処理手順を整理し,自己相関相互相関,反転相関の有用性を示した.これらの成果より,2配列間の類似性を鳥瞰的に視覚化する手法の体系化を行い,提案手法のもつ多様な情報抽出の可能性を提示した.
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