研究概要 |
平成13年度は下記の研究実績が得られた. 1.ゲノム情報学アプリケーションの解析:動的計画法を使用するゲノム情報学アプリケーションは多く存在し,またその処理に多くの時間を要することがわかった. 2.専用プロセッサの設計・開発:動的計画法をハードウェア的に高速処理するFPGAベースのデータフロー型専用プロセッサを設計し,シミュレーションでその性能を見積もった.アフィンギャップに対応したNeedleman-Wunsch法,Smith-Waterman法を当面の対象アプリケーションとして選択した.その結果,Pentium III1GHz搭載のPCの10倍以上の性能が期待できる反面,PCとのデータ交換のオーバーヘッドが性能向上のボトルネックとなることがわかった.動的計画法をハードウェア実装する際にもっとも簡潔な実装はシストリックアレイ型アーキテクチャを採用することであるが,その場合,動的計画法のアルゴリズム上,ほとんどの演算素子が休眠状態になる.本研究では,複雑にはなるがデータフロー型アーキテクチャを採用することにより,休眠演算素子をなくしてチップ単位面積あたりの性能を高めて高並列処理を実現している. 3.専用プロセッサ協調型並列アルゴリズムの研究・開発:動的計画法を適用する大規模な配列を分割し,専用プロセッサにその処理を割り当てる分割方式を開発した. 専用プロセッサについてはすでに設計は完了しているが,FPGA搭載PCIボードのPCとのインターフェース部の実装,ならびにデバイスドライバの開発が予想外に手間取り,専用プロセッサの実機での評価は完了していない.
|