研究課題/領域番号 |
13210001
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研究種目 |
特定領域研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
井上 芳郎 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20051584)
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研究分担者 |
市川 量一 札幌医科大学, 医学部, 助手 (10223091)
渡辺 雅彦 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70210945)
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研究期間 (年度) |
2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
5,300千円 (直接経費: 5,300千円)
2001年度: 5,300千円 (直接経費: 5,300千円)
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キーワード | 小脳 / プルキンエ細胞 / 登上線維 / シナプス可塑性 / 発生・分化 / グルタミン酸受容体 / 順行性標識性 / 遺伝子欠損マウス |
研究概要 |
小脳プルキンエ細胞は平行線維と登上線維の2種類の興奮性入力を受け、前者はプルキンエ細胞の樹状突起の遠位領域に、後者は一本からなる線維が近位領域にシナプス結合していることを特徴としている。そのシナプス構築の形成には様々な分子が関与すると考えられるが、その中でグルタミン酸受容体δ2分子および代謝性グルタミン酸受容体1型分子に着目し、順行性標識法を用いてそれらの遺伝子欠損マウスの登上線維を選択的に発色させ登上線維と平行線維のプルキンエ細胞上におけるシナプス構築を調べ、そのデータをもとに各分子のシナプス構築形成に対する役割を検討した。 登上線維を選択的に発色させた小脳について、軟膜に平行な電子顕微鏡用超薄切片をプルキンエ細胞の細胞体レベルから樹状突起の終端レベルまで連続して作製し、プルキンエ細胞上における登上線維シナプスと平行線維シナプスについて解析した。その結果、グルタミン酸受容体δ2の遺伝子欠損マウスのプルキンエ細胞については、1)平行線維シナプスが分布する樹状突起の遠位部においては、スパイン数は変わらないものの平行線維シナプス数が半減し登上線維が侵入しシナプスを形成していた。2)一本の樹状突起に複数本の登上線維の入力を示すシナプス構築像が遠位部で観察された。以上からグルタミン酸受容体δ2は平行線維シナプスを安定化しそれによって余剰な登上線維の侵入を抑える働きをすることを示唆していた。一方、代謝性グルタミン酸受容体1型分子の遺伝子欠損マウスでは、平行線維シナプス、登上線維シナプスの数と分布には変化がみられなかった。しかし、他のプルキンエ細胞を伴走する登上線維から分枝した側枝が樹状突起近位部に伸び、その側枝由来の登上線維によって支配されるプルキンエ細胞が存在した。そのことから、代謝性グルタミン酸受容体1型分子は平行線維と登上線維の相互作用には関与せず、登上線維と登上線維間の相互作用、つまりプルキンエ細胞への一重支配を形成するうえで不要な登上線維を削除する際に大きな役割をはたすと推察される。
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