研究課題/領域番号 |
13210060
|
研究種目 |
特定領域研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
|
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
橋本 浩一 金沢大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (00303272)
|
研究期間 (年度) |
2001
|
研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
|
配分額 *注記 |
6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
2001年度: 6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
|
キーワード | プルキンエ細胞 / 小脳 / 発達 / 登上線維 / シナプス |
研究概要 |
成熟動物の小脳プルキンエ細胞は一本の登上線維によってのみ支配を受けるが、発達初期には一時的に複数の登上線維による支配を受けている。シナプス形成直後の多重支配している登上線維は、それぞれ同じような強さのシナプスを形成しているが、生後一週目までに一つのプルキンエ細胞上で、一本の最大振幅を発生する強力な登上線維入力(multi-L)と、それ以外の弱い登上線維入力(multi-S)が混在して見られるようになる。multi-Lは将来残存すると考えられる入力線維、multi-Sは排除される線維ではないかと考えられるので、これらの間の機能的な差に関して電気生理学的手法を用いて解析した。低親和性AMPA受容体阻害剤であるPDAの効果を比較したところ、multi-Lはmulti-Sに比べて阻害効果が弱く、シナプス間隙のグルタミン酸濃度が高いことが示唆された。さらに、細胞外カルシウム濃度を下げて膜融合するシナプス小胞の数を減らした状態でPDAの阻害効果を比較したところ、その阻害効果が増大した。これは、シナプス小胞の放出確率が下がると、シナプス間隙の伝達物質濃度が下がることを意味している。もし一つのシナプス間隙に単一のシナプス小胞が放出されるならば、放出確率が下がってもシナプス間隙のグルタミン酸濃度は変化しないはずであるため、この結果はシナプス間隙の比較的狭い領域に複数のシナプス小胞から伝達物質が放出されていることを示している。この放出確率減少によるPDAの効果の増大が、multi-Sでは顕著に見られなかった。これは、multi-Sでは、シナプス間隙に伝達物質を放出するシナプス小胞の数が、multi-Lに比べて少ないことを示唆する。以上の結果より、将来残存する登上線維の選別に伴い、シナプス前終末の機能的な性質に変化が生じていることが示唆された。
|