研究課題/領域番号 |
13210065
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研究種目 |
特定領域研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
福田 敦夫 浜松医科大学, 医学部, 教授 (50254272)
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研究分担者 |
山田 順子 静岡大学, 大学院・電子科学研究科, 助手 (30334965)
岡部 明仁 浜松医科大学, 医学部, 助手 (10313941)
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研究期間 (年度) |
2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
5,400千円 (直接経費: 5,400千円)
2001年度: 5,400千円 (直接経費: 5,400千円)
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キーワード | クロライドイオン / クロライドトランスポーター / カハールレチウス細胞 / クロライドイメージング / GABA / グリシン / 国際情報交換 / ドイツ |
研究概要 |
1.新生大脳皮質の細胞タイプ別Cl^-ホメオスタシスの解析(福田): Cl^-感受性蛍光指示薬のMEQを用い、層構造構築過程の大脳新皮質(生後0-3日齢ラット)に存在する各細胞タイプあるいは細胞移動時期の差によるCl^-ホメオスタシスの違いを検討した。辺縁帯のCajal Retzius cellではresting[Cl^-]_iが37mMと高値で、皮質板では移動後間もない表層のcortical plate cellが30mMで定着直後のVI層のpyramidal neuron(25mM)よりも有意に高値であった。すなわちcortical plate cellでは[Cl^-]_iは移動に伴い低下し、Cajal-Retzius cellではおそらく神経発生後からの高値が持続していた。また、これらすべての細胞タイプでGABA_A/glycine作動性興奮が惹起され、幼若型Cl^-ホメオスタシスがGABA/glycineを興奮性に作用させ、皮質層構造構築に関与する可能性が示唆された。 2.単一細胞レベルのCl^-ホメオスタシス調節遺伝子発現と[Cl^-]_iの相関の解析(岡部、山田、Luhmann): グラミシジン穿孔スライスパッチクランプ法で各細胞タイプのGABA逆転電位(Cl^-平衡電位)を計測して[Cl^-]_iを計算した後、Cl^-トランスポーターのKCC2(外向き)とNKCC1(内向き)のnested primerを用いてsingle-cell multiplex RT-PCR法を行い、単一細胞での発現を半定量した。細胞個々の[Cl^-]_iはNKCC1発現量とは正の、KCC2発現量とは負の相関があった。すなわち細胞移動期のcortical plate cellでは機能的にNKCC1>KCC2となり[Cl^-]_i高値を維持し、定着後はKCC2>NKCC1となって[Cl^-]_iが低下し、幼若型から成熟型のCl^-ホメオスタシスに発達してGABAを抑制性に変化させると考えられる。 3.局所的皮質障害モデルにおけるCl^-ホメオスタシスと細胞特性変化の解析(岡部、福田、Luhmann): 生直後にfocal freeze-lesionを行い局所的大脳皮質細胞移動障害モデルラットを作成した。4日後の障害部位にNKCC1陽性KCC2陰性の細胞群の出現を認め、7日後のこの部位は偽脳回を形成した。偽脳回の第1層にはreelin陽性のCajal-Retzius細胞様の細胞が出現した。また障害部位に最初に出現する神経細胞は非常に未熟な電気的膜特性を有していた。今後これらの細胞がどこから移動してきたのか、あるいは障害部位に出現した神経幹細胞から分化したのかについて各種マーカーと電気生理学的手法で検討していく。
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