研究課題/領域番号 |
13210087
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研究種目 |
特定領域研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
木村 文隆 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (00202044)
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研究期間 (年度) |
2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
5,700千円 (直接経費: 5,700千円)
2001年度: 5,700千円 (直接経費: 5,700千円)
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キーワード | 伝達物質放出確立 / 視床-皮質切片標本 / ムスカリニック受容体 / ニコチニック受容体 / MK-801 / マウス / 入力由来依存性 |
研究概要 |
皮質には、ムスカリニック(mACh)とニコチニック(nACh)の2つのACh受容体が知られており、その作用は一見複雑である。この点に関して、研究代表者は、シナプス反応に注目すると、両受容体は入力由来依存性に皮質細胞への入力を制御している可能性を、皮質視覚野の切片標本を用いて示してきた。すなわち、皮質内由来の入力についてはmAChにより抑制されるが、視床由来の上行性入力に対しては、nAChを介して反対に促通作用を受ける可能性を示唆してきた。これを更に詳細に検討する目的で、現在マウスの体性感覚野(バレル皮質)より視床との線維連絡を保った切片標本を用いて視床由来の線維を選択的に刺激する実験を行い、より直接的な検討を行った。その結果、nicotineはフィールド電位、シナプス電流いずれに対しても増強させる効果を示すことが明らかとなった。さらに、nAChによる促通効果の層特異性を検討する目的で、光学的計測法による実験も行った。視床刺激に対して、バレル皮質ではIV層特異的に興奮領域が現れるが、nAChアゴニストはこの興奮を更に増大させ、II/III層、V/VI層にも興奮が広がった。また、IV層では興奮後に引き続き、刺激後約150ms以降では逆に抑制が現れ、何らかの抑制回路が活性化されている可能性が示唆された。以上の結果は、AChがmACh受容体とnACh受容体を介して入力由来依存性に皮質内の興奮伝播を制御しているという仮説を強く指示するものである。また、nAChアゴニストによるバレル構造特異的な遅延性の抑制はAChにより視床由来の入力を強調しているものと考えられるが、その詳細なメカニズムの解明は今後の興味深い課題である。
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