研究課題/領域番号 |
13210104
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研究種目 |
特定領域研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
山下 拓史 広島大学, 医学部, 助手 (20311813)
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研究期間 (年度) |
2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2001年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | α-synuclein / protein tyrosine kinase / Parkinson病 / phosphorylation / Pyk2 / Fyn / ニトロ化 / tyrosine 125 |
研究概要 |
α-synucleinはパーキンソン病の発症に関与する重要な蛋白として注目を集めている。近年、α-synucleinが細胞内でリン酸化、ニトロ化、ユビキチン化、糖化など様々な修飾を受けることが明らかにされている。細胞ストレスに応じてリン酸化、脱リン酸化、ニトロ化、さらにニトロ化による重合を起こすチロシン残基は、α-synucleinのコンフォメーション変化に重要な役割を持つと考えられている。われわれは細胞内においてα-synucleinをチロシンリン酸化するチロシンキナーゼの検索を行い、さらに各チロシン残基がα-synucleinの重合に与える影響について検討した。wild typeおよび常染色体優性遺伝性パーキンソン病で報告されたA30PおよびA53T変異型や、チロシン残基(Y)をフェニルアラニン残基(F)に置換したY39F、Y125F、Y133F、Y136F変異型のα-synuclein cDNAを作成した。COS7細胞にα-synucleinとともにチロシンキナーゼを共発現させ、α-synucleinのリン酸化状態を解析した。c-SrcなどのSrcファミリーキナーゼはα-synucleinのY125を特異的にリン酸化し、wild type、A30P、A53T変異型の間で程度に差は認めなかった。Osmotic stressによるチロシンキナーゼPyk2/RAFTKの活性化により、α-synucleinは細胞内においてチロシンリン酸化され、ドミナントネガティブ型Pyk2を発現させることによりリン酸化は消失した。Pyk2は細胞内においてα-synucleinのリン酸化に関わっている可能性が示唆された。さらに、これらのチロシン残基のニトロ化による影響を検討した。Y to F変異を持つ様々な変異型α-synuclein蛋白を使って、peroxynitriteによりチロシン残基をニトロ化した時のα-synucleinのdimer形成への影響を検討した。wild type、A30P、A53T変異型α-synuclein蛋白はニトロ化され、いずれもdimerを形成し、その程度は蛋白間で差はみられなかったが、Y125F変異のある蛋白ではいずれもdimer形成がみられなかった。α-synucleinのニトロ化は重合促進の原因となり、dimer形成の効率は関与するチロシン残基により異なることが明らかとなった。チロシン125のリン酸化やニトロ化は、α-synucleinのコンフォメーション変化を考える上で重要であると考えられた。
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