研究課題/領域番号 |
13210107
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研究種目 |
特定領域研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 高知医科大学 |
研究代表者 |
椛 秀人 高知医科大学, 医学部, 教授 (50136371)
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研究期間 (年度) |
2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
9,900千円 (直接経費: 9,900千円)
2001年度: 9,900千円 (直接経費: 9,900千円)
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キーワード | フェロモン / 記憶 / 副嗅球 / 樹状突起間シナプス / 抑制性シナプス後電流 / グルタミン酸受容体 / 興奮性シナプス後電位 / 長期増強 |
研究概要 |
交尾を契機に雌マウスに形成される雄フェロモンの記憶は、妊娠の成立に不可欠である。この記憶を支えるシナプスの可塑的変化は、鋤鼻系の最初の中継部位である副嗅球に起こる。副嗅球の中継ニューロンであるグルタミン酸作動性僧帽細胞は副嗅球に内在するGABA作動性顆粒細胞との間に、樹状突起同士の相反性相互シナプスを形成している。交尾刺激により賦活されたノルアドレナリン神経の働きを引き金として、種々の情報分子が関わり、僧帽細胞から顆粒細胞への興奮性シナプスに超微形態学的変化が生じることをわれわれは示してきた。今回、この相反性相互シナプスの特性及びその可塑性を電気生理学的に検討した。第1の実験では、マウス副嗅球のスライス標本を作製し、nystatin穿孔パッチによるホールセル法を用いて僧帽細胞に発生する抑制性シナプス後電流(IPSC)を膜電位固定下で解析した。IPSCは僧帽細胞樹状突起と顆粒細胞樹状突起との間の相互作用に起因し、この発生に顆粒細胞樹状突起のNMDA受容体が重要な役割を果たしていることが判明した。第2の実験では、僧帽細胞樹状突起から顆粒細胞樹状突起への興奮性シナプス伝達とその可塑性について解析した。僧帽細胞の軸索(外側嗅索、LOT)を電気刺激すると副嗅球の外叢状層において2峰性の誘発陰性フィールド電位が記録された。第2番目の電位の発生はCNQXによって抑制され、第1番目の電位の発生は、CNQXにもAP5にも影響されず、TTXによって抑制されたことから、第1番目の電位は僧帽細胞の逆行性興奮を、第2番目の電位は顆粒細胞樹状突起に発生した興奮性シナプス後電位(フィールドEPSP、fEPSP)を表わしている。LOTを比較的低頻度で長時間(10Hz、20発、3分間隔で4回)刺激すると、fEPSPの長期増強(LTP)が誘導された。
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