研究課題/領域番号 |
13210108
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研究種目 |
特定領域研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
鍋倉 淳一 九州大学, 医学研究院, 助教授 (50237583)
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研究期間 (年度) |
2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
7,500千円 (直接経費: 7,500千円)
2001年度: 7,500千円 (直接経費: 7,500千円)
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キーワード | 神経筋接合部 / シナプス / 競合 / 選択的脱落 / 発達 |
研究概要 |
脳の発達の最終段階において、いったん形成された神経連絡網の多量の脱落が観察される。この過程は"synapse elimination"と呼ばれ、神経系の殆どの部位で観察される。この現象の特徴は既に機能しているシナプスの脱落であり、多くの場合activity dependentである。この現象の細胞レベルでのメカニズムついての研究は視覚系、小脳や交感神経節などにおいて行なわれているが、神経筋接合部においてもっとも集中的に行なわれている。マウス胸鎖乳突筋においては過剰シナプスの脱落は生後2週間で開始、終了する。この間競合する終末間に機能的な差(シナプス電位の大きさ)が生じ、次第に脱落する終末のシナプス電位は減少する。これは、放出可能なシナプス小胞の数の減少とともに、直下のアセチルコリン受容体密度の減少による個々のシナプス小胞の効率の差に起因する。この過程は神経筋伝達をブロックすると遅延するため神経回路活動依存性の過程である。その速度は競合する終末間の機能(シナプス電位)の差が4倍以上になると2日以内に弱いシナプスは除去される。開始のメカニズムとして、運動神経細胞間の電気的カップリングの存在を検討した結果、シナプスの脱落の過程に3-4日先行してカップリングの消失が観察された。以上の結果から、未熟期においては、運動神経細胞間の電気的カップリングによって一つの筋細胞に入力する複数の終末はあたかも一つの終末のようにふるまう。カップリングの消失によって個々の神経終末の活動の独立化が起こり、シナプス間の競合が開始される可能性が示唆された。
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