研究課題/領域番号 |
13210113
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研究種目 |
特定領域研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
中島 欽一 熊本大学, 発生医学研究センター, 助教授 (80302892)
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研究期間 (年度) |
2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
7,200千円 (直接経費: 7,200千円)
2001年度: 7,200千円 (直接経費: 7,200千円)
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キーワード | 脳・神経 / 発生・分化 / アストロサイト / エピジェネティクス / メチル化 / LIF / シグナル伝達 / STAT3 |
研究概要 |
神経幹細胞は発生中期には主にニューロンを、胎生後期から生後にかけてはアストロサイトを含むグリア細胞を産生することが明かとなっている。この神経幹細胞の分化制御には「細胞を取り巻く環境からの外因性シグナル」及び「細胞内在性のメカニズム」の双方が重要であると考えられる。我々はこれまでに、LIFという外因性シグナルが神経幹細胞を含有するマウス胎生14日終脳由来未分化神経上皮細胞のアストロサイトへの分化を誘導することを示してきた。しかし本研究において、本来ニューロンを主に産生する発生中期(胎生11日)の神経上皮細胞は、LIF刺激によりアストロサイトの分化に必須な転写因子STAT3が活性化されるにも関わらずアストロサイトへの分化が誘導されないことが明かとなり、この現象への細胞内在性メカニズムの関与が示唆された。そこでわれわれはこの分子メカニズムの解析を行った。 細胞内在性メカニズムとしてDNAメチル化というエピジェネティックなゲノム修飾状態の変化を想定し、アストロサイト特異的タンパク質をコードするGFAP遺伝子プロモーター中のSTAT3認識配列のメチル化状態を検討した。その結果胎生11日の神経上皮細胞ではこのSTAT3認識配列が高度にメチル化されていたのに対し、胎生14日の神経上皮細胞ではメチル化を受けていないことがわかった。実際STAT3はメチル化された認識配列に対する結合能を保持しておらず、胎生11日の神経上皮細胞は例えSTAT3が外因性シグナルによって活性化された場合でも標的遺伝子の転写が誘導されないためにアストロサイトへの分化が生じないことが明かとなった。以上のことは発生の各段階において遺伝子のメチル化状態が変化するという内因性のメカニズムにより、外因性シグナルへの応答性が変化することで神経幹細胞の系譜が制御されるという新規な分化制御機構の一部を解明できたといえる。
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