研究課題/領域番号 |
13210152
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研究種目 |
特定領域研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 理化学研究所 |
研究代表者 |
貫名 信行 理化学研究所, 病因遺伝子研究グループ, グループディレクター(研究職) (10134595)
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研究分担者 |
田中 元雅 理化学研究所, CAGリピート病研究チーム, 基礎科学特別研究員 (40321781)
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研究期間 (年度) |
2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
7,600千円 (直接経費: 7,600千円)
2001年度: 7,600千円 (直接経費: 7,600千円)
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キーワード | ポリグルタミン / アミロイド / ミオグロビン / プリオン |
研究概要 |
神経変性疾患の原因の一つに蛋白質のミスフォールディング、凝集体形成の関与が示唆されている。凝集体の形成は、蛋白質内部のある特定のアミノ配列によって誘起されることが最近、明らかとなってきた。我々は、凝集性アミノ酸配列の性質を詳しく検討するために、安定性および水溶性が極めて高いマッコウミオグロビンに着目し、そのC-Dコーナーに種々の凝集性アミノ酸配列を挿入したキメラミオグロビンを設計した。挿入した凝集性アミノ配列はヒトプリオン(OPR)、Sup35p(R5)、α-シヌクレイン(NAC)、50グルタミンリピート(Q50)由来の40〜60アミノ酸からなる凝集体形成に関わると考えられる配列である。そこでこれらキメラミオグロビンの構造および性質を分光学的、生化学的手法により検討した。 各種キメラミオグロビンを精製したところ、野生型(WT)とほぼ同じ可視・紫外吸収スペクトル、常磁性NMRスペクトルを示した。この結果は、適切にフォールディングされたキメラミオグロビンが単離できたことを意味する。キメラミオグロビンは、中性条件下、37℃放置によりQ50>R5>OPR>NAC>WTの速さで凝集体を形成した。凝集体の性質を生化学的手法、電子顕微鏡などで調べたところ、R5とQ50変異体の凝集物はSDSに不溶性のアミロイド繊維を含むことが明らかになった。また、Q50の繊維はR5の繊維よりも長く、また量も多いことから、グルタミンリピートはアミロイド繊維形成能がより高いことが判明した。これらキメラミオグロビンの安定性を尿素変性実験により検討した。その結果、R5、Q50変異体の安定性は他の変異体に比べて大きく不安定化していた。このことは、蛋白質分子が凝集性アミノ酸配列をもつことで部分的にアンフォールドし、モルテングロビュール様の構造を経てアミロイド繊維が形成されることを示唆している。
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