研究課題/領域番号 |
13210156
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研究種目 |
特定領域研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | (財)東京都医学研究機構 |
研究代表者 |
曽良 一郎 財団法人東京都医学研究機構, 東京都精神医学総合研究所, 副参事研究員 (40322713)
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研究分担者 |
糸川 かおり 埼玉医科大学, 神経内科学教室, 助手 (10255086)
萩野 洋子 財団法人東京都医学研究機構, 東京都精神医学総合研究所, 技術部研究員 (40332382)
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研究期間 (年度) |
2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
2001年度: 6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
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キーワード | モノアミントランスポーター / オピオイド受容体 / 報酬 / ノックアウトマウス / コカイン / モルヒネ / ドーパミン / セロトニン |
研究概要 |
精神分裂病などの機能性精神疾患の多くは情動機能が障害されているため、情動に密接に関与する報酬のメカニズムの解明は精神疾患の病態の理解、治療法の開発に重要である。本研究では、極めて強い報酬効果を持つ依存性薬物の標的分子の遺伝子改変動物を用いて、報酬系におけるモノアミン、オピオイド神経伝達の役割を検討した。覚醒剤であるコカインは神経終末のモノアミンの取り込み部位を阻害するが、報酬効果はこれまでドーパミントランスポーター(DAT)を介すると考えられてきた。しかし、DATあるいはセロトニントランスポーター(SERT)のいずれの欠損でもコカインの報酬効果は減少しなかったことから、コカインの報酬効果は複雑な分子機構が予想された。DAT/SERTダブル欠損マウスを作製し、コカインの報酬作用について検討したところ、DAT完全欠損にSERT欠損が加わることによりコカインの報酬が消失したことを示した。また、DAT完全欠損/SERT部分欠損ではコカインの報酬が消失、DAT部分欠損SERT完全欠損では保持されたことから、SERTよりもDATがより重要な役割を果たしていると考えられる。さらに脳内微少透析法を用いて、これらダブル欠損マウスの線状体におけるドーパミン放出がコカインの報酬効果に対応していることを見いだしたμオピオイド受容体(μOR)欠損マウスでは、報酬試験としての静脈内自己投与試験、条件づけ場所嗜好性試験においてモルヒネの報酬効果が消失していた。この結果により、モルヒネに期待される報酬効果が、鎮痛効果ともにμORに付随することが明確となった。さらに、μOR欠損したマウスではモルヒネのみらずμORに直接の親和性を持たないエタノールの報酬も減弱していた。この結果はμOR欠損マウスがアルコール依存症におけるオピオイド神経伝達の役割を明らかにする上で、有用なモデルとなりうることを示唆している。
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