研究課題/領域番号 |
13214029
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研究種目 |
特定領域研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
中村 正孝 東京医科歯科大学, 疾患遺伝子実験センター, 教授 (30180392)
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研究分担者 |
大谷 清 東京医科歯科大学, 疾患遺伝子実験センター, 講師 (30201974)
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研究期間 (年度) |
2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
2001年度: 4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
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キーワード | ウイルス / 癌 / 発現制御 / 細胞周期 / HTLV-I |
研究概要 |
ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV-Iの持つ転写因子Taxが、宿主T細胞の癌化に主要な役割を果たすことが知られている。我々はこれまでに、Taxが、細胞周期の進行に主要な役割を果たすサイクリン依存性キナーゼ(CDK)を活性化することにより、細胞周期転写因子E2Fを活性化し細胞周期を促進することを明らかにした。CDK活性化には、Taxによるサイクリン及びCDKの遺伝子発現誘導が重要であることも見い出している。本研究では、Taxの細胞周期促進におけるCDK活性化の重要性と、サイクリン・cdk遺伝子の発現誘導機構を検討した。TaxによるE2Fの活性化は、CDKインヒビターp19^<Ink4d>により抑制される。従って、DタイプCDKの活性化がこの過程には必須であることが明らかである。サイクリン・cdk遺伝子のプロモーターを単離してTaxに対する反応性を検討したところ、Taxはこれらの遺伝子を転写レベルで発現誘導した。プロモーター解析の結果、サイクリンD2遺伝子は、主にNF-κBの経路を介してTaxによって直接に活性化される。また、Taxの変異体を用いた実験から、cdk2,cdk4およびcdk6遺伝子もTaxによって直接活性化される可能性が強く示唆された。我々は、繊維芽細胞ではTaxがE2Fを活性化できないことを報告している。繊維芽細胞でTaxによるサイクリン・cdk遺伝子活性化を検討したところ、これらの遺伝子はTaxによってほとんど活性化されなかった。以上より、Taxは、細胞周期制御に関わる因子を直接転写レベルで活性化することにより細胞増殖を促進すると考えられる。Taxによるこれら遺伝子の活性化には組織特異性があり、HTLV-IがT細胞を特異的に癌化する裏付けとなる。これらの知見は、HTLV-Iによる白血病発症の分子機構の解明に大きく貢献するものと考える。
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