研究概要 |
1.KIR遺伝子をもたないと考えられてきたマウスのゲノムに、ブラストサーチでヒトのKIRと最も高い相似性を示す免疫グロブリンドメイン2個を有する遺伝子をみいだした。高い配列相似性をもったESTクローンが存在することから、X染色体上に位置する本遺伝子はタンパク質をコードしている可能性が高いが、発現組織の違いからNKレセプターとして働いている可能性は低いことが示唆された。 2.Ly94遺伝子を含むBACクローンに、Tnnt1(slow skeletal muscle troponin T)遺伝子、Tnni3(cardiac troponin I)遺伝子、Mbs85(myosin binding subunit 85)遺伝子、Flj20258遺伝子、Flj20510遺伝子、Gp6(platelet glycoprotein VI)遺伝子をみいだした。Tnni3,Tnnt1,Mbs85遺伝子はこの順に並んで存在し、また、Flj20510遺伝子とGp6遺伝子は並んで存在することが判った。ヒトでは、LY94遺伝子に隣接してFCAR(IgA Fc receptor)遺伝子が存在するが、本遺伝子と相同と考えられる配列はBACクローン中にみいだされなかった。Pir遺伝子を含むBAC contig中には少なくとも、3個のPirb遺伝子が存在した。これらの遺伝子は既知のPirb遺伝子と同様なエクソン・イントロン構造をもっていた。既知のPirb遺伝子とは異なった免疫グロブリン様配列をもった配列が少なくともさらに2個検出された。これが、偽遺伝子であるのか、新たなPir遺伝子であるのかは不明である。 3.LRCの位置するヒト19q13.4領域とFc receptor遺伝子群の存在するヒト1q21-q23領域がパラロガスな遺伝領域であり、これらの領域は大規模な染色体重複によって誕生したと推定されることをみいだした。
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