研究課題
特定領域研究
ARFは多くのヒト腫瘍組織、腫瘍細胞株で不活化されていることが知られている細胞癌化抑制にとって重要な癌抑制遺伝子である。ARF依存性細胞死誘導機構の解析は生体にとって極めて重要な発癌抑制機構を明らかにする可能性があり、解析したところp53野生型細胞におけるARF依存性アポトーシスは、血清除去によるストレスで引き起こされるアポトーシス誘導分子の発現増加と協調してミトコンドリア依存性にカスペース3および9を活性化してアポトーシスを誘導することを明らかになった。この際ARFはp53依存性にアポトーシス抑制分子であるBc1-2のミトコンドリアにおける発現低下、またp53非依存性にBax/Bimの発現増加をもたらすことが分子機構であることを究明した(Nakazawa Y, Kamijo T et al, JBC 2003)。また近年ノックアウトマウスを用いて遺伝的に示されたARF依存性/p53非依存性の発癌抑制機構は非常に興味深い生命現象である。このARF依存性/p53非依存性の発癌抑制機構の解明はp53変異悪性腫瘍に対する新たな分子治療の開発につながる可能性が考えられる。我々はこの機構をARF依存性/p53非依存性アポトーシスの存在を培養細胞系で確認し、その誘導機構の解析を行った。ARF依存性・p53非依存性細胞死誘導機構では、ARFのC末部分がp53不活化細胞においてアポトーシスをWtより強く誘導することを見出した。このアポトーシスはミトコンドリア非依存性であり、MAPKのリン酸化を介してCaspase7の活性化がもたらされた。さらに、Caspase7の活性化がMAPKのリン酸化へフィードバックしていることが示された。さらに、癌抑制遺伝子産物ARFによる細胞死誘導機構の解析をARFの初伏培養細胞における発現によって行った。SV40Tによってp53/Rb経路が不活化された細胞においてARFは細胞死を誘導し、これがミトコンドリア依存性のアポトーシスによるものであることをcytochrotne cの放出、caspase 3/9の活性化によって確認した。この際ARFがSV40T蛋白に結合することが確認され、SV40T蛋白の機能を不活化することによってp53およびRbの活性化、蛋白量増加が生じて上述のアポトーシス誘導が起こることが推測された。このp53およびFbの蛋白量増加については、p53およびRbの共通のユビキチン・リガーゼであるMI)M2のARFによる不活化が関与していると思われた。重要な発ガンウイルスであるSV40による発がん機序においてp53/Rbの不活化は重要であるが、ARFがこの調節に深く関与していることが明らかになった(Nakazawa Y, Kamijo T et al, submitted)。
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