研究概要 |
1.BMDCは機能的なIL-6受容体を表面発現している。 C57BL/6マウス骨髄細胞をGM-CSF存在下に6日間培養したBMDC(未熟BMDC)は機能的IL-6受容体(α鎖とgp130)を発現しIL-6刺激により、転写因子STAT3およびチロシン脱リン酸化酵素SHP-2のチロシンリン酸化を誘導した。 2.gp130^<F759/F759>のBMDCにおいてgp130のシグナルはBMDCの成熟を著明に抑制した。 gp130^<F759/F759>マウスの未熟BMDCではIL-6刺激によりClass II MHC強陽性の成熟BMDCの分画が減少した。またLPS刺激でも、成熟BMDC分画の誘導は対照より低下していた。IL-6とLPSの共刺激では、gp130^<F759/F759>の成熟BMDC分画はさらに低下した。IL-6による抑制効果はCD40,CD80,CD86の発現誘導においても増強していた。このIL-6によるLPS依存性BMDC成熟阻害効果は、gp130からのSTAT3活性化が遮断されているgp130^<FXXQ/FXXQ>においては観察されなかった。 3.p130^<F759/F759>BMDCのLPS刺激によるIL-12産生能は、IL-6により著明に阻害された。 4.130^<F759/F759>BMDCの抗原提示能は、抗原負荷時のIL-6処理により著明に阻害された。 OVA(1mg/ml)処理したgp130^<F759/F759>BMDCの誘導するCD4^+OT-2 T細胞の増殖は、IL-6処理により著明に低下した。gp130^<FXXQ/FXXQ>BMDCでは、IL-6によるOVA抗原提示の抑制効果は認められなかった。 gp130^<F759/F759>マウスにおいては、抗原提示機能低下が自己免疫疾患発症に関与する可能性が示唆された。今後は、BMDCの誘導する抗腫瘍免疫応答におけるgp130シグナルの役割を明らかにしたい。
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